「失業保険をもらいながら職業訓練を受けられるって本当?」「給付期間が延長されるって聞いたけど、条件は?」
退職後にスキルアップしながら経済的な支援も受けたいなら、失業保険と職業訓練を組み合わせた制度をぜひ活用しましょう。条件を満たせば、失業保険の給付期間が訓練終了まで延長されるだけでなく、交通費や受講手当も追加でもらえます。
この記事では、失業保険で職業訓練を受けるための条件、もらえる手当の種類と金額、申し込みの手順まで詳しく解説します。

失業保険をもらいながら職業訓練を受ける仕組み
ハローワークが認定する公共職業訓練(ハロートレーニング)を受講すると、失業保険(基本手当)を受給しながら無料でスキルを学ぶことができます。
最大のメリット:給付期間の延長
通常の失業保険は、受給期間が90日・120日・150日などと決められています。しかし、公共職業訓練を受講している間は、訓練が終了するまで失業保険の給付期間が延長される仕組みになっています(訓練延長給付)。
例えば、失業保険の残日数が30日しかなくても、3ヶ月の訓練コースを受講すれば訓練終了まで基本手当が支給され続けます。
自己都合退職の給付制限も解除される
自己都合退職の場合、通常は原則1ヶ月の給付制限期間がありますが、職業訓練の「受講指示」を受けた場合はこの給付制限が解除されます。訓練開始日から基本手当が支給されるため、収入の空白期間を最小限に抑えられます。
「受講指示」と「受講推薦」で扱いが異なります。受講指示を受けた場合は給付延長や各種手当が支給されますが、受講推薦の場合はこれらの恩恵が受けられないことがあります。ハローワークで「受講指示」を受けられるよう相談しましょう。
給付延長や給付制限の仕組みをまとめて確認したい方は、失業保険の解説本を1冊手元に置いておくと、ハローワークで相談する前の下調べに使えます。
職業訓練を受けるための条件
失業保険をもらいながら職業訓練を受けるには、いくつかの条件があります。
基本的な受講条件
- 雇用保険の受給資格があること:失業保険を受給中、または受給手続きが完了していること
- ハローワークで求職申込をしていること:失業保険の手続きをする際に同時に行えます
- ハローワークが「職業訓練が必要」と認めること:現在のスキルでは再就職が難しく、訓練を受けることで就職の可能性が高まると判断される必要があります
- 訓練を受講する意欲と能力があること:面接や筆記試験で選考される場合があります
受講指示を受けるための条件
「受講指示」を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 訓練開始日の時点で、失業保険の残日数が一定以上あること(訓練コースの期間によって必要な残日数が異なります)
- 公共職業訓練の開始日が待期期間7日間の終了後であること
残日数が不足していると受講推薦になり、給付延長のメリットが受けられないことがあります。早めにハローワークで相談し、受講時期を調整しましょう。
職業訓練中にもらえる手当の種類と金額
受講指示を受けて職業訓練を受講すると、基本手当に加えて以下の手当が支給されます。
基本手当(失業保険)
訓練期間中も、通常どおり基本手当が支給されます。金額は離職前の給与をもとに計算され、おおよそ離職前の給与の50〜80%です(年齢や賃金額により異なります)。
受講手当
訓練を受講した日ごとに1日500円が支給されます。支給上限は40日分で、最大20,000円です。
通所手当(交通費)
訓練施設に通うための交通費として、実費相当額が支給されます。月額上限は42,500円です。公共交通機関を利用する場合は定期券の金額、自動車通所の場合は距離に応じた金額が支給されます。
寄宿手当
訓練施設が遠方にあり、自宅からの通所が困難で引っ越しが必要な場合に、月額10,700円が支給されます。

雇用保険を受給できない方向け:職業訓練受講給付金
雇用保険に加入していなかった方や、失業保険の受給期間が終了してしまった方でも、「求職者支援訓練」を受講すれば月額10万円の給付金がもらえる制度があります。
職業訓練受講給付金の支給要件
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していないこと
- 訓練の全出席日の8割以上に出席すること
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいないこと
- 過去3年以内にこの給付金の不正受給を行っていないこと
支給内容
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:交通費の実費相当額
- 寄宿手当:月額10,700円(必要な場合のみ)
職業訓練受講給付金は、出席率8割以上が受給条件です。やむを得ない事情なく訓練を欠席すると給付が停止される場合があるため、体調管理にも注意しましょう。
職業訓練の申し込みから受講までの手順
- ハローワークで求職申込・失業保険の手続きをする
- 訓練コースを検索する:ハローワークの窓口で相談するか、厚生労働省のハロートレーニングページで開講予定のコースを検索します
- 訓練の説明会・見学に参加する:興味のあるコースの説明会に参加し、内容を確認します
- ハローワークで職業相談を受ける:希望するコースについて相談し、受講指示または受講推薦を受けます
- 訓練実施機関に申し込む:ハローワーク経由で申し込みを行います
- 選考を受ける:筆記試験や面接が行われることがあります
- 合格・受講開始:合格通知を受け取り、指定された日から訓練がスタートします
受給資格者証や訓練の案内、合格通知など、手続きの途中で受け取る書類は1冊のファイルにまとめておくと、ハローワークに行くたびに探さずに済みます。

おすすめの職業訓練コース
就職に直結しやすい人気のコースを紹介します。
IT・Web系
プログラミング(Java、Python、PHP)、Webデザイン(HTML/CSS/JavaScript)、ネットワーク・サーバー構築など。IT業界は人手不足が続いており、未経験からの就職実績が高いコースが多いです。
事務・会計系
パソコンスキル(Excel、Word、PowerPoint)、日商簿記、経理実務など。幅広い業種で求められるスキルのため、汎用性が高いのが魅力です。
訓練が始まる前に基礎をつかんでおきたい方は、日商簿記3級の独学用テキストで予習しておくのも1つの方法です。
介護・福祉系
介護職員初任者研修、実務者研修など。高齢化が進む日本では介護人材の需要が年々増えており、就職先に困りにくいのが大きなメリットです。
製造・技術系
機械加工、電気設備、溶接、CAD/CAMなど。ものづくりの現場で即戦力として活躍できるスキルを身につけられます。
Q&A|失業保険と職業訓練に関するよくある質問
Q. 職業訓練中にアルバイトはできる?
原則として可能ですが、アルバイトの収入や時間によって失業保険の給付が減額・停止される場合があります。アルバイトをする場合はハローワークに必ず申告してください。
Q. 職業訓練の倍率は高い?
人気のコース(IT系やWebデザイン系)は倍率が2〜3倍になることもあります。一方、製造系や介護系は比較的入りやすい傾向があります。複数のコースに目星をつけておくと安心です。
Q. 職業訓練を途中で辞めたらどうなる?
正当な理由なく訓練を中途退所すると、その後の失業保険の給付に影響が出る場合があります。訓練を辞めたい場合は、まずハローワークに相談しましょう。
Q. 職業訓練の受講に年齢制限はある?
基本的に年齢制限はなく、20代から60代以上まで幅広い年齢層が受講しています。ただし、一部のコースで対象年齢を設けている場合もあるため、事前に確認してください。
Q. 訓練終了後に就職できなかったらどうなる?
訓練終了後も失業保険の残日数があれば、引き続き受給しながら就職活動を続けられます。訓練で身につけたスキルを活かして、就職活動を進めましょう。
Q. 職業訓練に落ちたらどうすればいい?
人気の高いコースは選考で落ちることもあります。その場合は、次の開講のタイミングで再度応募するか、別のコースを検討しましょう。複数のコースを候補に入れておくことで、1つ落ちても柔軟に対応できます。ハローワークの担当者に相談すれば、代替コースの提案をしてもらえることもあります。
Q. 職業訓練中に就職先が見つかったら?
訓練途中でも就職先が決まれば退所して構いません。就職が決まること自体が訓練の目的なので、途中退所でもペナルティはありません。再就職手当の対象になる場合もあるため、就職が決まったらハローワークに相談しましょう。
まとめ
失業保険をもらいながら職業訓練を受講する制度は、退職後のキャリアチェンジを目指す方にとって非常に心強い味方です。
訓練は無料で、失業保険の給付期間が延長され、交通費や受講手当も追加でもらえるという三拍子そろった制度です。雇用保険に加入していなかった方でも、求職者支援訓練を通じて月10万円の給付金を受け取ることができます。
退職後の時間を有意義に活用するために、まずはハローワークに足を運んで、自分に合った訓練コースを探してみてください。


