年の途中で退職した場合、年末調整ができていないため確定申告が必要になるケースがあります。「確定申告って難しそう」と感じるかもしれませんが、基本的な流れを理解すれば自分でも十分に対応できます。
この記事では、退職後に確定申告が必要になるケースと、具体的なやり方・手順を分かりやすく解説していきます。確定申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってくることも多いので、退職した方はぜひチェックしてみてください。

退職後に確定申告が必要なケース
年の途中で退職して、年内に再就職しなかった場合は、年末調整が行われていないため、確定申告で所得税の精算が必要になります。
確定申告が必要な人
- 年の途中で退職し、年内に再就職しなかった人
- 退職金を受け取ったが「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなかった人
- 退職後にフリーランスや個人事業を始めた人
- 退職後に副業収入や不動産収入がある人
- 年間の医療費が10万円を超えた人(医療費控除を受けるため)
- 2つ以上の会社から給与を受け取っていた人
確定申告をしたほうがいい人(任意だが有利)
- 年の途中で退職し、所得税を多く払い過ぎている可能性がある人
- 退職後に生命保険料・社会保険料などの控除を受けたい人
- ふるさと納税をした人(ワンストップ特例が使えない場合)
- 住宅ローン控除の適用を受けたい人
多くの退職者は所得税を払い過ぎている
会社員の所得税は毎月の給与から概算で天引きされていますが、年末調整で正確な税額に調整されます。年の途中で退職すると年末調整が行われないため、払い過ぎた所得税がそのままになってしまいます。確定申告をすれば、その差額が還付されます。特に年の前半に退職した場合は、年間所得が想定より低くなるため、還付額が大きくなる傾向があります。
確定申告に必要な書類
確定申告に必要な書類を事前に準備しておきましょう。書類の準備が確定申告で最も時間がかかる部分なので、退職したら早めに集め始めることをおすすめします。
- 源泉徴収票(退職した会社から発行されるもの。複数の会社で働いていた場合は全社分)
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
- 各種控除証明書(生命保険料・地震保険料・社会保険料など)
- 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書(該当する場合)
- 銀行口座情報(還付金の振込先)
- 退職後に支払った国民年金保険料・国民健康保険料の領収書
源泉徴収票は退職後に会社から発行されます。届かない場合は、退職した会社に連絡して発行を依頼しましょう。法律上、会社は退職日の翌月末日までに源泉徴収票を発行する義務があります。それでも届かない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで対応可能です。
確定申告のやり方(手順)
ステップ1:必要書類を準備する
上記で紹介した書類をすべて手元に用意します。特に源泉徴収票は確定申告の基礎となる重要書類なので、紛失しないように保管しましょう。書類をクリアファイルなどにまとめておくと、申告時にスムーズです。
ステップ2:確定申告書を作成する
確定申告書の作成方法は主に3つあります。
- e-Tax(電子申告):国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで作成・提出。24時間利用可能
- 税務署で作成:最寄りの税務署に行き、職員の方に相談しながら作成。確定申告期間中は相談コーナーが設置される
- 会計ソフトを利用:市販の会計ソフトやクラウドサービスで作成
最もおすすめなのは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法です。画面の案内に従って数字を入力していくだけで、自動的に税額が計算されます。マイナンバーカードがあれば、スマホからでも電子申告(e-Tax)が可能です。パソコンでもスマホでも作成できるので、自宅から手軽に申告できます。
ステップ3:確定申告書を提出する
作成した申告書の提出方法は以下の3つです。
- e-Tax(インターネット)で電子送信 ← 最もスムーズ
- 税務署の窓口に持参
- 税務署に郵送(信書扱いのため、レターパックや簡易書留での送付がおすすめ)
ステップ4:還付金を受け取る
還付がある場合は、申告書に記載した銀行口座に振り込まれます。e-Taxで申告した場合は2〜3週間程度、書面で申告した場合は1〜2ヶ月程度で還付されるのが一般的です。処理状況はe-Taxのマイページで確認できます。

確定申告の期間と注意点
申告期間
確定申告の申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。ただし、還付申告(税金が戻ってくる場合の申告)であれば、翌年の1月1日から5年間提出できます。退職して還付を受ける場合は、確定申告期間を待たなくても翌年の1月から提出可能です。早めに提出すれば、それだけ早く還付金を受け取れます。混雑期の2月〜3月を避けて1月中に提出するのが賢い方法です。
退職金の確定申告
退職金については、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、適正な税額が源泉徴収されているため、原則として確定申告は不要です。ただし、この申告書を提出しなかった場合は、退職金に対して一律20.42%の所得税が源泉徴収されています。この場合は確定申告をすることで、払い過ぎた税金の還付を受けられる可能性があります。
確定申告で受けられる主な控除
退職者が確定申告で受けられる主な控除は以下のとおりです。
- 社会保険料控除:退職後に支払った国民年金保険料・国民健康保険料・任意継続保険料など
- 生命保険料控除:生命保険・医療保険・個人年金保険の保険料
- 地震保険料控除:地震保険の保険料
- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた場合(セルフメディケーション税制も対象)
- 寄附金控除:ふるさと納税や認定NPO法人への寄附など
- 基礎控除:合計所得金額に応じて控除が受けられる
- 配偶者控除・扶養控除:該当する場合
記事執筆時点の改正により、基礎控除の金額が見直し・拡充されています。所得が低めの退職者にとっては控除額が増えている可能性があるため、最新の控除額を国税庁のサイトで確認してみてください。
還付金はどのくらい戻る?目安
還付金の金額は個人の状況によって大きく異なりますが、一般的な目安を紹介します。
- 年の前半(1〜6月)に退職した場合:年末調整との差が大きいため、数万円〜数十万円の還付になることも
- 年の後半(7〜11月)に退職した場合:数千円〜数万円程度の還付が一般的
- 12月に退職した場合:年末調整がほぼ完了しているため、還付額は少ないことが多い
ただし、退職後に支払った社会保険料(国民年金・国民健康保険料)の控除を含めると、想定以上の還付が受けられるケースもあります。
よくある質問(Q&A)
Q. 年の途中で退職して、年内に再就職した場合は確定申告が必要?
年内に再就職し、転職先で前職の源泉徴収票を提出して年末調整を受けた場合は、確定申告は原則不要です。ただし、医療費控除やふるさと納税などの控除を受けたい場合は、確定申告が必要になります。
Q. 確定申告をしなかったらどうなる?
還付申告であれば罰則はありませんが、払い過ぎた税金が戻ってこないだけです。ただし、退職後にフリーランスとして収入がある場合など、申告義務がある場合に無申告でいると、加算税や延滞税が課される可能性があります。
Q. 確定申告は税理士に頼まないとダメ?
退職者の確定申告は、給与所得と退職所得がメインであれば複雑ではないため、自分で行うことが十分可能です。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで申告書が完成します。不動産所得や事業所得がある場合は、税理士に相談したほうがスムーズかもしれません。
Q. 医療費控除のセルフメディケーション税制とは?
特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間12,000円以上購入した場合に、超過分を所得控除できる制度です。通常の医療費控除と併用はできませんが、医療費が10万円に届かない場合に活用できます。レシートの保管が必要です。

まとめ
年の途中で退職して年内に再就職しなかった場合は、確定申告をすることで払い過ぎた所得税が還付される可能性が高いです。手続き自体は国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に従って進めるだけで完了します。
源泉徴収票や各種控除証明書を事前に準備しておくことがスムーズな申告のポイントです。還付申告であれば翌年の1月から提出可能なので、早めに手続きして還付金を受け取りましょう。
確定申告の詳しいやり方については、国税庁の確定申告特集ページを参照してください。また、不明点がある場合は最寄りの税務署に相談することもできます。税理士への相談が必要な場合は、日本税理士会連合会のサイトから税理士を探すことも可能です。


