「退職後にスキルを身につけたいけど、お金が心配」「職業訓練って実際どんな講座があるの?」という疑問を持つ方は少なくありません。
実は、退職後に無料で職業訓練を受けながら給付金をもらえる制度が整っています。正しく活用すれば、お金の不安を軽減しつつ新しいスキルを手に入れることが可能です。
この記事では、退職後に利用できる職業訓練の種類やおすすめの講座、もらえる給付金の内容と条件を詳しく解説します。

退職後に受けられる職業訓練の種類
退職後に受けられる職業訓練には大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
公共職業訓練(ハロートレーニング)
雇用保険(失業保険)を受給している方が対象の訓練です。国や都道府県が実施しており、受講料は基本的に無料です(テキスト代は自己負担の場合あり)。
訓練期間は3ヶ月〜2年と講座によって異なり、機械加工・電気設備・ビル管理・CAD・プログラミング・Webデザイン・簿記会計・介護・医療事務など幅広い分野があります。
求職者支援訓練
雇用保険を受給できない方(受給期間が終了した方や自営業を廃業した方など)が対象の訓練です。こちらも受講料は無料で、パソコンスキル・Web制作・プログラミング・ネイル・医療事務・介護など多彩なコースが用意されています。
一定の条件を満たせば「職業訓練受講給付金」として月額10万円と交通費が支給されます。
公共職業訓練は雇用保険の受給者向け、求職者支援訓練は雇用保険を受給できない方向けです。どちらに該当するかで利用できる制度が変わるので、まずはハローワークで自分の受給資格を確認しましょう。
ハローワークでは離職票や雇用保険被保険者証などの提出を求められます。退職後に届いた書類は1冊の書類ファイルにまとめておくと、窓口で慌てずに済みます。
職業訓練中にもらえる給付金・手当一覧
職業訓練を受講すると、種類に応じてさまざまな給付金や手当がもらえます。
公共職業訓練の場合(雇用保険受給者)
公共職業訓練を受講している間は、失業保険の基本手当が訓練終了まで延長される大きなメリットがあります。本来であれば90日や120日で終了する給付期間が、訓練が終わるまで続くため、安心して学習に集中できます。
基本手当に加えて以下の手当も支給されます。
- 受講手当:1日500円(上限40日分で最大20,000円)
- 通所手当:交通費の実費相当額(月額上限42,500円)
- 寄宿手当:月額10,700円(訓練施設が遠方で引っ越しが必要な場合のみ)
求職者支援訓練の場合(雇用保険を受給できない方)
以下の条件をすべて満たす場合、職業訓練受講給付金として月額10万円と通所手当(交通費)が支給されます。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練の全出席日の8割以上に出席する
退職後におすすめの職業訓練コース
どの講座を選ぶべきか迷う方のために、就職率が高く人気のあるコースを紹介します。
Webデザイン・Web制作
HTML/CSS、JavaScript、デザインツールの基本を学べるコースです。リモートワーク可能な職種への転職を目指す方に人気があります。フリーランスとして独立する道も開けるため、柔軟な働き方を求める方におすすめです。
プログラミング・IT系
Java・Python・PHPなどのプログラミング言語やネットワーク・サーバーの基礎を学べるコースです。IT業界は人手不足が続いており、未経験からの転職も目指しやすい分野です。
簿記・会計・経理
日商簿記の資格取得を目指すコースが多く、事務職への転職を目指す方に根強い人気があります。経理の知識は業界を問わず役立つため、汎用性の高いスキルです。
介護・福祉
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格取得を目指すコースです。高齢化が進む日本では介護人材の需要が年々増加しており、就職先に困りにくいのが大きなメリットです。
医療事務
病院やクリニックでの受付・会計・レセプト作成などのスキルを学ぶコースです。資格を取得すれば全国どこでも働けるため、引っ越しの予定がある方にも向いています。
どのコースにするか迷ったら、気になる分野の資格テキストを1冊読んでみると、自分に向いているかどうかの感触がつかめます。訓練の予習にもなります。

教育訓練給付金制度も活用しよう
職業訓練とは別に、「教育訓練給付金」という制度もあります。雇用保険に一定期間加入していた方が対象で、厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合に受講費用の一部が支給されます。
一般教育訓練給付金
受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。英会話スクール、パソコン教室、簿記講座など幅広い講座が対象です。
特定一般教育訓練給付金
受講費用の40%(上限20万円)が支給されます。介護職員初任者研修、税理士試験対策講座、大型自動車免許の取得講座などが対象です。
専門実践教育訓練給付金
受講費用の最大70%(年間上限56万円)が支給されます。看護師・介護福祉士・美容師などの資格取得を目指す専門的な講座が対象で、最大4年間受給できます。
対象講座は厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムで確認できます。
教育訓練給付金を利用するには、離職後1年以内に受講を開始する必要があります(一部例外あり)。退職後すぐに利用を検討している方は、期限に注意しましょう。
職業訓練の申し込み手順
職業訓練を受けるまでの具体的な流れを確認しておきましょう。
- ハローワークで求職申込をする:まずは最寄りのハローワークで求職の申し込みを行います
- 訓練コースを探す:ハローワークの窓口や、厚生労働省のハロートレーニングページで開講予定のコースを検索します
- 職業相談を受ける:希望するコースについてハローワークの担当者と相談し、適性や就職見込みなどを確認します
- 受講申し込み:ハローワーク経由で訓練実施機関に申し込みを行います
- 選考:筆記試験や面接がある場合もあります
- 受講開始:合格すれば訓練がスタートします
Q&A|退職後の職業訓練に関するよくある質問
Q. 職業訓練はいつから受けられる?
コースによって開講時期が異なりますが、毎月新規コースが開講されています。申し込みから受講開始まで1〜2ヶ月かかることが多いので、退職後すぐにハローワークで情報収集を始めるのがおすすめです。
Q. 職業訓練中にアルバイトはできる?
失業保険を受給しながらの場合、アルバイトの内容や時間によっては給付が減額・停止される可能性があります。アルバイトをする場合は、必ずハローワークに申告してください。
Q. 職業訓練のコースは途中で変更できる?
原則として途中でのコース変更はできません。自分に合ったコースを選ぶために、事前に見学や説明会に参加することをおすすめします。
Q. 年齢制限はある?
基本的に年齢制限はありません。20代から60代以上まで幅広い年齢層の方が受講しています。ただし、一部のコースでは対象年齢を設けている場合もあるため、事前に確認しましょう。
Q. 職業訓練で取得できる資格は?
コースによって異なりますが、日商簿記2級・3級、介護職員初任者研修、ITパスポート、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、宅地建物取引士、フォークリフト運転技能講習など、就職に役立つ資格の取得を目指せるコースが多数用意されています。
Q. オンラインで受けられる職業訓練はある?
近年はオンライン受講に対応したコースも増えています。特にIT系・Web系のコースではオンライン受講が主流になりつつあります。通学が難しい方は、ハローワークでeラーニング対応のコースを探してみてください。

職業訓練を受けるときの注意点
職業訓練は非常に便利な制度ですが、利用する際にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。
出席率を管理する
求職者支援訓練で職業訓練受講給付金を受給する場合、全出席日の8割以上に出席することが条件です。やむを得ない理由なく休んでしまうと給付金が停止される可能性があるため、体調管理をしっかり行いましょう。
訓練終了後の就職活動も計画しておく
訓練で身につけたスキルを活かして就職するためには、訓練期間中から求人情報のチェックや履歴書・職務経歴書の準備を進めておくことが大切です。訓練校によっては就職支援のサポートが受けられるところもあります。
手書きの履歴書を求める求人もあるので、履歴書の用紙を数枚手元に用意しておくと、応募のタイミングを逃さずに済みます。
まとめ
退職後の職業訓練は、スキルアップと経済的な支援を同時に受けられる心強い制度です。公共職業訓練なら失業保険の給付期間が延長され、求職者支援訓練なら月額10万円の給付金が受けられます。
IT系・事務系・介護系・医療事務など幅広い分野のコースが無料で用意されているため、キャリアチェンジを考えている方にも最適です。教育訓練給付金制度も併せて活用すれば、民間のスクールに通う費用も大幅に抑えられます。
退職後の時間を「ただの無職期間」にしないために、ぜひ職業訓練の活用を検討してみてください。


