退職して失業保険をもらっている最中に再就職が決まったら、「再就職手当」を受け取れる可能性があります。でも、申請のタイミングや条件がよくわからなくて、もらい損ねてしまう方も少なくありません。
再就職手当は、就職日の翌日から1ヶ月以内に申請する必要があります。この期限を過ぎると受給が難しくなるため、早めに動くことが大切です。
この記事では、再就職手当の申請タイミング・条件・手続きの流れを、わかりやすくステップごとに解説していきます。申請に必要な書類や金額の計算方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

再就職手当とは?どんな制度なのか
再就職手当は、雇用保険(失業保険)の受給中に早期に再就職した方へ支給される一時金です。正式には「就職促進給付」の一種にあたり、ハローワークが管轄しています。
失業保険を満額もらい切ってから就職するよりも、早めに再就職したほうが経済的に有利になるように設計されている制度です。つまり、早く就職するほど受け取れる金額が多くなる仕組みになっています。
再就職手当の目的
失業保険をギリギリまで受給してから就職しようとする動きを抑え、早期の再就職を促すことが目的です。再就職手当があることで「早く仕事を見つけたほうが得」という動機づけが生まれます。
非課税である点も見逃せない
再就職手当は所得税・住民税の課税対象になりません。受け取った金額がそのまま手元に残るため、転職直後の出費が多い時期にありがたい存在です。
入社前後は、通勤用のビジネスバッグなど身の回りの物をそろえ直す方も多い時期です。書類がA4のまま入るサイズを選んでおくと、入社手続きの書類も折らずに持ち運べます。
再就職手当をもらうための8つの条件
再就職手当を受け取るには、以下の条件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると支給対象外になるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
- 失業保険の待期期間7日間が経過した後に就職すること
- 就職日の前日までの失業保険の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 退職した会社やそのグループ会社への再就職ではないこと
- 給付制限(自己都合退職の場合)の最初の1ヶ月は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること
- 1年以上の雇用が見込まれること
- 雇用保険に加入する条件を満たしていること
- 過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
- 受給資格決定(求職申込み)前に採用が内定していないこと

再就職手当の支給額はいくら?計算方法を解説
再就職手当の金額は、「基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率」で計算されます。給付率は、残日数の割合が多いほど高くなる仕組みです。
給付率の違い
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:給付率70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:給付率60%
つまり、残日数がたくさん残っている(=早く再就職した)ほど、給付率が70%に上がってお得になります。
計算の具体例
例えば、基本手当日額が5,000円で所定給付日数が90日の方が、残日数70日(3分の2以上)の時点で再就職した場合を考えてみましょう。
5,000円 × 70日 × 70% = 245,000円
これが一括で支給されます。なお、基本手当日額には上限があり、記事執筆時点では59歳以下で6,570円、60~64歳で5,310円です(毎年8月に改定される可能性があります)。
自分の基本手当日額と残日数を当てはめて電卓で計算しておくと、再就職のタイミングを考えるときの目安になります。
基本手当日額の上限額は年度によって変動します。正確な金額はハローワークの窓口で確認してください。
再就職手当の申請タイミングはいつ?
再就職手当の申請でもっとも重要なのは「いつまでに手続きを済ませるか」です。期限を守らないと、せっかくの受給チャンスを逃してしまうことになります。
原則:就職日の翌日から1ヶ月以内
再就職手当の申請期限は、就職した日の翌日から1ヶ月以内です。この期間を過ぎてしまうと、基本的には申請を受け付けてもらえません。
やむを得ない理由がある場合
天災やその他やむを得ない事情がある場合は、時効(2年)の範囲内であれば申請が認められるケースもあります。ただし、「忙しくて忘れていた」という理由はやむを得ない事情に該当しないため、注意が必要です。
ベストな申請タイミング
入社したらできるだけ早く(入社後1~2週間以内を目安に)申請手続きを始めるのが理想です。事業主に証明欄を記入してもらう時間も考慮すると、ギリギリにならないよう余裕を持ちましょう。
再就職手当の申請手続きの流れ
ここでは、実際にどのような手順で手続きを進めるのか、ステップごとに解説していきます。
ステップ1:内定が出たらハローワークに連絡する
再就職先が決まったら、まずハローワークに報告します。電話でもかまいませんが、就職日の前日までにハローワークの窓口で「就職の届出」を行うのがスムーズです。
ステップ2:再就職手当支給申請書を受け取る
ハローワークの窓口で就職の届出をすると、「再就職手当支給申請書」が交付されます。この申請書には、事業主(再就職先の会社)が記入する欄があります。
ステップ3:事業主に証明欄を記入してもらう
入社後に申請書の事業主欄を再就職先の会社に記入してもらいます。人事や総務に「再就職手当の手続きで記入をお願いしたい」と伝えれば対応してもらえます。
ステップ4:必要書類を揃えてハローワークに提出する
申請書と必要書類をハローワークに提出します。提出方法は、窓口への持参・郵送・e-Gov電子申請の3つがあります。
提出に必要な書類
- 再就職手当支給申請書(事業主記入済み)
- 雇用保険受給資格者証
- 採用証明書(就職届出時に提出していない場合)
申請書は事業主に記入してもらうために会社とハローワークを行き来するので、クリアファイルに入れて持ち歩くと折れや汚れを防げます。
ステップ5:審査後に振り込まれる
提出後、ハローワークで審査が行われます。審査にかかる期間はおおむね1ヶ月から1ヶ月半程度で、指定した銀行口座に一括で振り込まれます。

自己都合退職の場合の注意点
自己都合退職で失業保険に給付制限がかかっている場合、再就職手当の受給条件に追加のルールが発生します。
給付制限の最初の1ヶ月はハローワーク経由の就職に限定
自己都合退職で1ヶ月(5年以内に2回以上の自己都合退職の場合は3ヶ月)の給付制限を受けている方は、給付制限期間の最初の1ヶ月間に就職する場合、ハローワークまたは厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者の紹介による就職であることが条件になります。
つまり、給付制限の最初の1ヶ月は、自分で求人サイトから応募して就職しても再就職手当をもらえない可能性があるということです。2ヶ月目以降であれば、この制限はなくなります。
給付制限中でも待期期間の7日間は共通ルール
自己都合退職でも会社都合退職でも、最初の7日間の待期期間中に就職した場合は再就職手当の対象外です。この期間は失業状態であることが必要になります。
再就職手当がもらえないケース
条件を満たしていると思っても、以下のケースでは再就職手当を受給できません。申請前に確認しておきましょう。
- 前の会社に再雇用された場合(関連会社・グループ会社も含む)
- パートやアルバイトで雇用保険の加入条件を満たさない短時間勤務の場合
- 雇用期間が1年未満の短期契約の場合
- 受給資格決定前に就職(内定)が決まっていた場合
- 過去3年以内に再就職手当を受給している場合
「フリーランスとして独立」する場合も、一定の条件を満たせば再就職手当の対象になることがあります。詳しくはハローワークに相談してみてください。
再就職手当に関するよくある質問
Q. 再就職手当の申請を忘れていたらどうなりますか?
原則は就職日の翌日から1ヶ月以内が申請期限です。ただし、時効は2年間ですので、やむを得ない理由がある場合は2年以内であれば認められるケースもあります。まずはハローワークに相談してみることをおすすめします。
Q. 派遣社員として就職した場合でも再就職手当はもらえますか?
派遣社員でも、1年以上の雇用が見込まれ、雇用保険に加入する働き方であれば対象になります。派遣元の会社が前職と無関係であることも条件の一つです。
Q. 再就職先をすぐ辞めたらどうなりますか?
再就職先を短期間で退職した場合、すでに支給された再就職手当を返還する必要はありません。ただし、最初から短期離職を前提とした就職は不正受給とみなされる可能性があるため避けましょう。
Q. 就業促進定着手当とは何ですか?
再就職手当を受給した方が、再就職先で6ヶ月以上働き、その間の賃金が前職より低い場合に追加で支給される手当です。再就職手当と合わせて活用できるため、該当する方は忘れずに申請しましょう。
まとめ
再就職手当は、失業保険の受給中に早期再就職した方を経済的にサポートする制度です。申請のタイミングは就職日の翌日から1ヶ月以内で、残日数が多いほど給付率が高くなります。
手続きの流れとしては、内定報告→申請書受領→事業主記入→ハローワーク提出の4ステップです。条件を満たしていれば数十万円の一時金が受け取れるため、転職時にはぜひ活用を検討してみてください。
不明な点があれば、管轄のハローワーク窓口で丁寧に教えてもらえます。申請期限だけは忘れないよう、入社後すぐに動くことが大切です。



