失業保険を受給中に「少しでもアルバイトして収入を補いたい」と考える方は少なくありません。結論から言うと、失業保険の受給中でもアルバイトは可能です。ただし、いくつかのルールを守る必要があり、申告を怠ると不正受給として厳しいペナルティが課されます。
この記事では、失業保険を受給しながらアルバイトをするための条件、減額されない働き方のポイント、ハローワークへの申告方法までを分かりやすく解説します。

失業保険の受給中にアルバイトが認められる条件
失業保険の受給中にアルバイトをする場合、以下の条件を満たす必要があります。
条件1:週20時間未満であること
週20時間以上働くと「就職した」とみなされる可能性があり、失業保険の受給資格を失うことがあります。アルバイトをする場合は、1週間の労働時間が20時間を超えないように調整しましょう。
条件2:31日以上の雇用見込みがないこと
31日以上の継続した雇用が見込まれる場合は、雇用保険の加入要件を満たしてしまい、失業状態ではなくなります。単発や短期のアルバイトが安全です。
条件3:認定日にハローワークへ申告すること
アルバイトをした日数や収入は、認定日に「失業認定申告書」に正確に記載して報告する義務があります。申告せずに働くと不正受給となります。
不正受給が発覚すると、受け取った給付金の全額返還に加え、その2倍の金額を追加で納付するペナルティが課されます。合計で受給額の3倍を返すことになるため、申告は忘れずに行いましょう。
1日の労働時間で変わる支給パターン
アルバイトをした日の基本手当がどうなるかは、1日あたりの労働時間によって異なります。
1日4時間以上のアルバイト
1日4時間以上働いた日は、その日の基本手当は「不支給」になります。ただし、消えてしまうわけではなく、「繰り越し」扱いとなり、所定給付日数の後ろに加算されます。つまり、もらえる総額は変わりません。
1日4時間未満のアルバイト(内職・手伝い扱い)
1日4時間未満の場合は「内職・手伝い」として扱われ、基本手当が全額支給されるか、一部減額されるか、不支給になるかが収入額によって決まります。
4時間未満アルバイトの支給パターン
- 全額支給:1日の収入 – 控除額(1,310円)+ 基本手当日額 ≦ 賃金日額の80%
- 一部減額:上記を超える場合、超えた分だけ基本手当が減額
- 不支給:1日の収入 – 控除額が基本手当日額以上の場合
計算が少し複雑ですが、ポイントは「アルバイト収入と基本手当日額の合計が、賃金日額の80%を超えないようにする」ことです。控除額は年度によって変わるので、ハローワークの窓口で最新の金額を確認してください。

待期期間中のアルバイトについて
ハローワークで求職申込みをしてから最初の7日間は「待期期間」です。この期間中はアルバイトをしてはいけません。待期期間中に1日でも働いてしまうと、待期期間がリセットされてしまい、受給開始が遅れます。
待期期間が終わった後からアルバイトが可能になりますが、自己都合退職の場合はさらに給付制限期間(1ヶ月)があります。給付制限期間中のアルバイトは可能ですが、週20時間未満に抑える必要があります。
ハローワークへの申告方法
アルバイトをした場合の申告は、認定日に提出する「失業認定申告書」で行います。
申告書への記入内容
- アルバイトをした日付
- 1日の労働時間(4時間以上か未満か)
- 収入金額
- アルバイト先の名称
記入に迷ったら、ハローワークの窓口で書き方を教えてもらえます。正直に申告することが何よりも重要です。
収入の報告タイミング
アルバイトの報告は「働いた日」ベースで行います。給料が振り込まれた日ではなく、実際に働いた日を申告書に記入します。
アルバイトでよくあるNG行動
- 手渡しの日払いバイトだから申告しなくていい→NG。支払い方法に関係なく、働いたら申告義務があります。
- 友人の手伝いで報酬をもらった→NG。金銭をもらった場合は申告が必要です。
- メルカリやネットオークションで稼いだ→状況による。事業的な規模で継続的に行っている場合は申告が必要です。
- 週20時間を少しだけ超えてしまった→NG。20時間以上は就職とみなされ、受給資格を失う可能性があります。
よくある質問Q&A
Q. 退職代行で辞めた後、すぐにバイトを始めても問題ない?
退職代行の利用は関係ありませんが、ハローワークで受給資格を得た後の待期期間(7日間)は働けません。待期期間が終わった後であれば、条件を守ればアルバイトは可能です。
Q. 在宅ワーク(クラウドソーシング)は申告が必要?
必要です。在宅で行うクラウドソーシングやフリーランスの仕事も、収入が発生した場合は申告しなければなりません。
Q. ボランティアは申告が必要?
無報酬のボランティアであれば申告は不要です。ただし、交通費や日当として金銭を受け取った場合は申告が必要になるケースがあります。
Q. アルバイトの収入が少額でも申告は必要?
金額に関係なく、1円でも収入があれば申告義務があります。「少額だから大丈夫」と思って申告しないと、後から不正受給として処分される可能性があります。
Q. アルバイトをしすぎて基本手当がもらえなくなったら?
4時間以上のアルバイトで不支給になった分は、所定給付日数の後ろに繰り越されるだけなので、もらえる総額は変わりません。ただし、週20時間以上働いて「就職」とみなされると受給資格自体を失うので注意してください。

給付制限期間中のアルバイトについて
自己都合退職の場合、待期期間(7日間)の後に1ヶ月の給付制限期間があります。この給付制限期間中のアルバイトについては、以下のルールが適用されます。
給付制限期間中はそもそも失業保険が支給されないため、アルバイト収入による減額は発生しません。ただし、週20時間以上のアルバイトは「就職した」と判断されるリスクがあるため、給付制限期間中でも週20時間未満に抑えることが望ましいです。
また、給付制限期間中にアルバイトをした場合でも、認定日に申告書に記載する必要があります。給付制限期間中の分は支給に直接影響しませんが、正確な報告を怠ると信頼を損ない、後の給付に影響する可能性があります。
クラウドソーシングやフリマアプリでの収入は?
在宅でのクラウドソーシング(ランサーズ、クラウドワークスなど)やフリマアプリ(メルカリ、ラクマなど)での収入も、場合によっては申告が必要です。
クラウドソーシングの場合
継続的に仕事を受注して収入を得ている場合は申告対象です。1日の作業時間が4時間以上か未満かによって、通常のアルバイトと同様の扱いになります。
フリマアプリの場合
不用品の整理としてたまに出品する程度であれば申告不要のケースが多いです。しかし、事業的な規模で継続的に売買している場合は「就労」と判断されることがあります。判断に迷う場合はハローワークに確認しておくのが安全です。
アルバイトの種類別の注意点
派遣アルバイトの場合
派遣会社に登録して単発の仕事をする場合、1日単位での就労であれば問題ありませんが、派遣会社との間に31日以上の雇用契約が発生すると「就職した」と見なされるリスクがあります。派遣会社に登録する際は、雇用契約の期間を確認しておきましょう。
知人の手伝いで報酬を受け取る場合
友人や知人の会社を手伝って報酬を受け取った場合も申告が必要です。「手伝い程度だから大丈夫」と思いがちですが、金銭の授受があった時点で就労と見なされます。無報酬であれば問題ありません。
試用期間中のアルバイト
再就職先の試用期間中に「やっぱり合わない」と感じて辞めた場合、残りの給付日数があれば再び失業保険を受給できるケースがあります。ただし、手続きが複雑になるため、ハローワークに相談してから判断することをおすすめします。
まとめ
失業保険の受給中でもアルバイトは可能ですが、守るべきルールがあります。
- 週20時間未満に抑えること
- 待期期間中(7日間)は働かないこと
- 認定日にハローワークへ正確に申告すること
- 4時間以上のバイトは基本手当が繰り越し、4時間未満は減額の可能性あり
- 申告しないと不正受給で受給額の3倍返還のペナルティ
ルールを守って正しく申告すれば、失業保険とアルバイトを両立することは問題ありません。不明点があればハローワークの窓口で相談しましょう。
参考:厚生労働省 雇用保険制度


