会社を退職すると、それまで加入していた厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要になります。「どこで手続きするの?」「何を持っていけばいいの?」と不安に感じる方も少なくないはずです。
この記事では、退職後の年金の切り替え手続きについて、必要書類や手続きの流れ、保険料の免除制度まで分かりやすく解説していきます。期限や注意点もまとめているので、これから退職を予定している方はぜひ参考にしてください。

退職後の年金はどうなる?厚生年金から国民年金への変更
会社員として働いている間は「厚生年金」(国民年金の第2号被保険者)に加入していますが、退職すると厚生年金の被保険者資格を喪失します。20歳以上60歳未満の方は、国民年金の第1号被保険者に切り替わるため、自分で手続きが必要です。
退職後すぐに次の会社に就職する場合は、新しい会社で厚生年金の加入手続きが行われるため、自分で年金の切り替え手続きをする必要はありません。ただし、退職から再就職まで1日でも空白期間がある場合は、その間の国民年金加入手続きが必要になります。たとえ数日間であっても、空白期間をそのままにしておくと未納扱いになってしまうので注意しましょう。
年金切り替え手続きの期限と場所
手続きの期限
国民年金への切り替え手続きは、退職日の翌日から14日以内に行う必要があります。14日を過ぎても手続き自体はできますが、未届けの期間が長くなると年金の未納期間が発生し、将来の受給額に影響する可能性があります。また、未届け期間中に障害を負った場合、障害年金を受け取れないリスクもあります。
手続きの場所
手続きはお住まいの市区町村役場の年金窓口(国民年金課など)で行います。年金事務所でも対応してもらえます。必要書類がそろっていれば、手続き自体は15〜20分ほどで完了するのが一般的です。窓口が混雑する時期もあるため、時間に余裕を持って訪問するとスムーズです。
必要書類一覧
手続きに必要な書類は以下のとおりです。事前に準備しておくとスムーズです。
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
- 退職日を証明する書類(退職証明書・雇用保険被保険者離職票・健康保険資格喪失証明書など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- 印鑑(自治体によって必要な場合あり)
- 配偶者が第3号被保険者だった場合は、配偶者の基礎年金番号通知書も
退職証明書や離職票が手元にない場合は、社会保険の資格喪失証明書でも手続き可能です。会社からの書類が届くのを待っていると14日を過ぎてしまうこともあるため、退職前に会社へ早めの発行を依頼しておきましょう。離職票は通常、退職後10日前後で届きますが、会社の事務処理が遅れるケースもあります。
国民年金保険料はいくら?
記事執筆時点で、国民年金保険料は月額17,920円です(令和8年度)。会社員時代は給与天引きで厚生年金保険料を支払っていましたが、国民年金では自分で納付する必要があります。年額に換算すると約215,040円で、退職後の家計にとって決して小さくない負担です。
納付方法
- 納付書(コンビニ・金融機関・電子決済で支払い可能)
- 口座振替(毎月自動引き落とし)
- クレジットカード払い
- スマホアプリ決済(PayPay・au PAYなど対応アプリあり)
口座振替の「早割」を利用すると月額50円の割引があり、さらに前納(半年・1年・2年分の一括払い)を選ぶとまとまった割引が受けられます。2年前納の場合は約15,000円以上お得になるため、まとまった資金がある方にはおすすめです。

保険料が払えないときは?免除・猶予制度を活用しよう
退職後に収入がなくなり、保険料の支払いが厳しい場合は、国民年金保険料の免除・猶予制度を利用できます。未納のまま放置するよりも、免除を申請したほうが将来の年金額への影響が少なくて済みます。免除期間は年金の受給資格期間に算入されるため、将来年金を受け取る権利を失わずに済むのです。
免除制度の種類
- 全額免除:保険料の全額が免除される。年金額には2分の1が反映
- 4分の3免除:保険料の4分の3が免除される。年金額には8分の5が反映
- 半額免除:保険料の半額が免除される。年金額には8分の6が反映
- 4分の1免除:保険料の4分の1が免除される。年金額には8分の7が反映
退職(失業)による特例免除
退職者には「退職(失業)による特例免除」という制度があります。通常の免除審査では前年所得が審査対象となりますが、失業を理由にした申請では本人の所得を除外して審査してもらえるため、承認されやすくなっています。申請には離職票や雇用保険受給資格者証などの失業を証明する書類が必要です。退職したらすぐに申請することをおすすめします。
納付猶予制度
50歳未満の方は「納付猶予制度」を利用できます。保険料の納付が猶予されるため、その期間は年金の受給資格期間に算入されます。ただし、追納しないと年金額には反映されません。経済的に余裕ができたら、10年以内であれば追納が可能です。
免除と未納の違い
- 免除:年金の受給資格期間に算入される。年金額にも一部反映される(全額免除でも2分の1が反映)
- 未納:受給資格期間に算入されない。年金額にも反映されない。督促の対象になる
- 猶予:受給資格期間に算入されるが、追納しなければ年金額には反映されない
配偶者も手続きが必要?第3号被保険者の切り替え
退職した方に扶養されていた配偶者(第3号被保険者)がいる場合、その配偶者も同時に第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。第3号被保険者は保険料の負担がありませんが、退職によって扶養者の厚生年金資格がなくなると、配偶者も自動的に第3号の資格を喪失します。配偶者の分も忘れずに手続きしましょう。配偶者が20歳以上60歳未満であれば、国民年金保険料の納付義務が発生します。

手続きを忘れていた場合はどうする?
14日以内の期限を過ぎてしまった場合でも、手続き自体は可能です。市区町村の窓口で事情を説明し、必要書類を提出すれば切り替え手続きを行ってもらえます。
ただし、手続きが遅れた分の保険料は遡って請求されることがあります。また、未届けの期間に病院を受診した場合、健康保険証がない状態になっているため、医療費が全額自己負担になるリスクもあります。年金だけでなく健康保険の切り替えも同時に行うことが重要です。
退職後に再就職する場合の年金手続き
退職後に再就職する場合は、新しい会社で厚生年金の加入手続きが行われます。その際に基礎年金番号が必要になるため、基礎年金番号通知書は大切に保管しておきましょう。退職から再就職までの空白期間がある場合は、その期間分の国民年金保険料を納付する必要があります。短期間であっても、未納にしないことが将来の年金額を守るために重要です。
よくある質問(Q&A)
Q. 離職票がまだ届かない場合、年金の切り替え手続きはできる?
離職票がなくても、退職証明書や健康保険資格喪失証明書など、退職日を証明できる書類があれば手続き可能です。どの書類も手元にない場合は、窓口に相談すれば対応方法を案内してもらえます。
Q. マイナンバーカードがあれば年金手帳は不要?
マイナンバーカードがあれば、基礎年金番号の確認ができるため、年金手帳がなくても手続きは可能です。ただし、自治体によって対応が異なるため、事前に電話で確認しておくと安心です。
Q. 退職後に海外に行く場合、年金はどうなる?
海外に転出届を出した場合、国民年金の加入は任意となります。任意加入しない場合は保険料の負担はありませんが、その期間は年金額に反映されません。将来の年金額を減らしたくない方は、任意加入を検討してみてください。
Q. 免除の申請はいつまでにすればいい?
免除の申請は、該当する期間の翌年6月末までさかのぼって行えます。ただし、早めに申請したほうが手続きがスムーズです。退職したらできるだけ早く、市区町村の窓口に相談しましょう。
Q. 厚生年金と国民年金で将来の年金額はどう変わる?
厚生年金に加入していた期間は、基礎年金(国民年金部分)に加えて報酬比例部分の年金が上乗せされます。国民年金のみの期間は基礎年金のみとなるため、厚生年金に長く加入しているほど将来の年金額は多くなります。

まとめ
退職後の年金切り替えは、退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で手続きを行います。必要書類を事前に準備しておけば、手続き自体は短時間で完了します。保険料の支払いが厳しい場合は、免除・猶予制度を活用することで、未納を防ぎつつ将来の年金額への影響を最小限に抑えることができます。退職を理由にした特例免除は審査が通りやすいので、該当する方はぜひ申請してみてください。
年金の切り替え手続きについて不明点がある場合は、日本年金機構のホームページや最寄りの年金事務所に相談してみてください。また、免除制度の詳細については厚生労働省のサイトも参考になります。


