妊娠がわかると、「このまま働き続けるか、退職するか」は多くの方が悩むテーマです。体調の変化や職場環境、経済面など考えることはたくさんありますよね。
この記事では、妊娠を機に退職する場合のベストなタイミングや、退職前後で受け取れる手当金、必要な手続きについて詳しく解説します。損しない辞め方を一緒にチェックしていきましょう。

妊娠で退職するタイミングはいつがベスト?
妊娠を理由に退職するタイミングは、主に3つのパターンがあります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
産休に入る前に退職する
つわりがひどい、体調がすぐれないなどの理由で、産休前に退職するケースです。体への負担は減りますが、出産手当金や育児休業給付金を受け取れなくなる可能性があるため注意が必要です。
産休中に退職する
産前産後休業を取得してから退職するパターンです。産休中であれば出産手当金を受け取れるため、経済的なメリットがあります。退職日を産休期間中に設定し、資格喪失日の前日(退職日)に出勤していなければ、退職後も出産手当金を継続して受給できるケースがあります。
育休中・育休後に退職する
育休を取得してから退職する方法です。育休中は育児休業給付金を受給できるため、経済的にもっとも有利なパターンと言えます。ただし、復帰の意思がない場合に育休を取得することについては、職場との関係や倫理面も考慮する必要があります。
退職のタイミングによって受け取れる手当金の種類と金額が大きく変わります。辞める時期を決める前に、どの手当が対象になるか確認しておくことが大切です。
出産予定日から逆算して、産休の開始日や退職日の候補、手当の申請時期を手帳に書き込んでおくと、スケジュールの全体像がつかみやすくなります。
妊娠・出産でもらえる手当金の種類と条件
妊娠・出産に関連してもらえる手当金は複数あります。退職するタイミングによって受給の可否が変わるので、しっかり押さえておきましょう。
出産育児一時金
健康保険に加入している方が出産したときに支給されるお金です。金額は1児につき50万円です。退職後であっても、退職日までに1年以上継続して健康保険に加入していて、退職後6ヶ月以内に出産した場合は受給対象になります。
出産手当金
産前42日(多胎の場合は98日)・産後56日の期間中、会社を休んだ場合に支給されます。支給額は日給の約3分の2です。退職後でも、以下の条件を満たせば受給できます。
- 退職日までに継続して1年以上の健康保険加入期間がある
- 退職日が産前42日以内である
- 退職日に出勤していない(有給消化はOK)
育児休業給付金(育児休業等給付)
育児休業中に雇用保険から支給される給付金です。休業開始から180日間は休業前賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます。ただし、育児休業給付金は退職すると受給資格を失うため、退職前に育休を取得している場合に限り受給可能です。退職後の申請はできません。
出生後休業支援給付金(新制度)
育児休業法の改正により新設された給付金で、出生直後の一定期間の休業を支援するものです。配偶者と合わせて給付率が実質手取りの約8割に引き上げられる仕組みになっています。詳細は勤務先やハローワークで確認してください。

退職前にやっておくべき手続き
妊娠を機に退職する場合、退職前にいくつか確認・準備しておくべきことがあります。
上司への報告タイミング
妊娠の報告は安定期(16週頃)に入ってからが一般的ですが、つわりがひどい場合は早めに伝えた方がいいでしょう。退職の意思がある場合は、退職日の3ヶ月前を目安に上司に伝えましょう。
有給休暇の確認
退職前に有給休暇を消化する権利があります。体調がすぐれないときは無理せず有給を使い、退職日まで体を大事にしてください。
健康保険の加入期間を確認する
出産手当金を退職後にも受け取るためには、退職日までに継続して1年以上の健康保険加入期間が必要です。加入期間が足りない場合は、退職日を調整するか、勤務先の人事に相談してみましょう。
母性健康管理指導事項連絡カードの活用
妊娠中の体調不良で業務の配慮が必要な場合は、「母性健康管理指導事項連絡カード」を使って医師の指示を会社に伝えることができます。これにより、業務の軽減や通勤緩和の措置を受けやすくなります。
退職後に必要な手続き一覧
退職後は速やかに以下の手続きを行いましょう。
健康保険の切り替え
退職後は、配偶者の扶養に入る・任意継続・国民健康保険のいずれかを選びます。妊婦健診や出産の医療費がかかる時期なので、空白期間が生じないよう早めに手続きしましょう。
年金の切り替え
配偶者が会社員であれば、第3号被保険者として年金の負担なく加入できます。それ以外の場合は、市区町村で国民年金への加入手続きが必要です。
出産育児一時金の申請
出産育児一時金は「直接支払制度」を利用すると、病院が健康保険組合に直接請求してくれるため、窓口での支払い負担が軽減されます。退職後に受給する場合は、以前の勤務先の健康保険組合に手続きを確認しましょう。
住民税の納付
退職後は住民税が普通徴収に切り替わります。産休・育休中は収入が減るため、住民税の支払いを計画に組み込んでおきましょう。
健康保険・年金・出産育児一時金・住民税と、退職後は届く書類が一気に増えます。1冊の書類ファイルにまとめておくと、手続きのたびに探さずに済みます。

妊娠退職後の再就職について
出産・育児が落ち着いたら再就職を考える方も多いです。ここでは再就職に向けてのポイントを紹介します。
失業保険の受給期間延長を忘れずに
妊娠・出産・育児を理由にすぐ就職できない場合、失業保険の受給期間を最長4年間まで延長できます。延長の手続きは、退職後30日が経過した翌日から1ヶ月以内にハローワークで行いましょう。
マザーズハローワークの活用
子育て中の方向けに「マザーズハローワーク」「マザーズコーナー」が全国に設置されています。キッズスペース付きで子連れでも相談しやすく、育児と両立しやすい求人情報を紹介してもらえます。
スキルアップの機会にする
育児中の空き時間を使って、資格取得やオンライン学習でスキルアップを図ることもできます。職業訓練校の中にはオンラインで受講できるコースもあり、雇用保険の受講手当が支給されるケースもあります。
まずは興味のある分野の資格テキストを1冊手に取って、独学でどこまで進められそうか試してみるのも1つの方法です。
妊娠退職で知っておきたいQ&A
Q. 妊娠を理由に解雇されることはある?
男女雇用機会均等法により、妊娠・出産を理由とした解雇や不利益な取扱いは禁止されています。もし退職を強要されたり、解雇を通告されたりした場合は、都道府県の労働局に相談してください。
Q. 退職代行を使って妊娠退職することはできる?
できます。つわりで体調が悪く出社できない、退職を言い出しにくい環境がある、といった場合に退職代行を利用する方もいます。弁護士型や労働組合型であれば、有給消化の交渉も代行してもらえます。
Q. 妊娠中の退職で損しないために一番大事なことは?
出産手当金の受給条件を満たすように退職日を調整することです。退職日が産前42日以内であれば退職後も受給できるので、出産予定日から逆算して退職日を決めましょう。
Q. 夫の扶養に入る場合、いつまでに手続きが必要?
退職後5日以内に配偶者の勤務先で手続きを行う必要があります。退職前に配偶者の勤務先に必要書類を確認しておくとスムーズです。
Q. 妊娠中に退職して、出産後にパートで働き始めた場合の社会保険はどうなる?
パート・アルバイトの場合、勤務先の条件によって社会保険に加入できるケースと、配偶者の扶養のまま働けるケースがあります。年収が130万円未満であれば扶養内で働くことが可能です。パート先の社会保険加入条件(週の所定労働時間が20時間以上など)に該当する場合は、パート先の社会保険に加入することになります。
Q. 退職後に妊婦健診の費用助成は受けられる?
妊婦健診の費用助成(受診票)は住民登録している自治体から交付されるもので、退職しても引き続き利用できます。引っ越しを伴う場合は、転入先の自治体で受診票の差し替え手続きを行ってください。

まとめ
妊娠を機に退職する場合、退職のタイミングによって受け取れる手当金が大きく変わります。出産手当金は退職後でも条件を満たせば受給できますし、出産育児一時金は50万円が支給されます。退職後は健康保険や年金の切り替えを速やかに行い、失業保険の受給期間延長も忘れずに手続きしましょう。
体調を最優先に、無理のないスケジュールで退職の準備を進めてください。


