介護職は体力的にも精神的にもハードな仕事です。「辞めたいけど人手が足りなくて言い出せない」「退職を伝えたのに引き止められて辞められない」という悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
この記事では、介護職が退職代行を利用できるのか、サービスの選び方、利用の流れ、注意点について解説します。介護職ならではの事情を踏まえた内容になっているので、ぜひ参考にしてください。

介護職が退職しにくい理由
介護労働安定センターの調査によると、訪問介護員・介護職員の離職率は12.4%(令和6年度介護労働実態調査)で、特に29歳以下の若年層は18.7%と高い水準です。離職率は改善傾向にあるものの、退職のハードルが高い職場は依然として存在します。
深刻な人手不足で「辞めるな」と言われる
介護業界は慢性的な人手不足に悩んでいます。退職を申し出ると、「あなたが辞めたら利用者さんはどうするの」「次の人が見つかるまで待ってほしい」と強い引き止めに遭うことが多いです。
利用者への罪悪感
日々接している利用者への責任感から、「自分が辞めたら迷惑がかかる」と感じて退職を踏みとどまる方もいます。しかし、職員の退職は施設側が対応すべき問題であり、個人が過度に責任を感じる必要はありません。
パワハラ・人間関係の問題
上司や先輩からのパワハラ、同僚との人間関係の悪化が退職理由になることも多いです。パワハラを受けている環境では、退職を自分で伝えること自体が精神的に困難です。
シフト制で退職のタイミングが難しい
介護施設は24時間体制で稼働しているため、シフト制の勤務形態が一般的です。退職のタイミングをいつにすればいいか分からず、ずるずると働き続けてしまうケースも少なくありません。
先のシフトや有給の残日数を手帳に書き出しておくと、退職日をいつにするか考えるときの目安になります。
退職は労働者の権利であり、会社(施設)が拒否することはできません。民法627条により、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の申し出から2週間で退職できます。
介護職でも退職代行は使える
結論から言えば、介護職でも退職代行は問題なく利用できます。正社員、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員のいずれの雇用形態でも利用可能です。
退職代行で何をしてもらえるのか
退職代行サービスは、本人に代わって施設に退職の意思を伝えてくれるサービスです。サービスのタイプによっては、以下の対応もしてもらえます。
- 退職の意思伝達
- 有給休暇の消化交渉(労働組合型・弁護士型)
- 離職票や退職証明書の発行依頼
- 未払い残業代の請求(弁護士型)
- 制服や備品の返却方法の調整
介護職特有の対応もしてもらえる
介護施設に対しての退職連絡は、退職代行サービスが代行してくれます。施設長やケアマネジャーへの連絡も含めて対応してくれるため、自分で直接連絡する必要はありません。

介護職が退職代行を選ぶときのポイント
退職代行サービスを選ぶ際に、介護職の方が特にチェックすべきポイントを紹介します。
労働組合型か弁護士型を選ぶ
介護職は未払い残業代が発生していたり、有給休暇が取得できていなかったりするケースが多いです。これらの交渉ができるのは労働組合型(団体交渉権に基づく交渉)と弁護士型(法律に基づく交渉・請求)だけです。
24時間対応しているか
介護職は夜勤やシフト制の勤務が多いため、深夜や早朝にしか相談できないことがあります。24時間対応のサービスを選ぶと、自分のスケジュールに合わせて相談できます。
即日対応が可能か
精神的に限界を迎えている場合は、依頼した当日に施設へ退職の連絡を入れてくれるサービスが必要です。多くの退職代行サービスは即日対応に対応しています。
返金保証の有無
万が一退職できなかった場合に全額返金してくれる保証があると安心です。実際には退職できないケースはほぼありませんが、保証があれば気軽に相談できます。
転職支援サービスがあるか
介護職の求人は豊富にあるため、転職先が見つかりやすい業界です。退職後の転職エージェント紹介や転職サポートがついているサービスを選ぶと、退職から転職までスムーズに進められます。
退職代行の利用の流れ
退職代行を利用する際の一般的な流れを説明します。
ステップ1:無料相談
LINEやメール、電話で無料相談します。現在の状況、退職希望日、有給の残日数、退職代行に任せたいことなどを伝えましょう。
雇用契約書や給与明細をクリアファイルにまとめて手元に置いておくと、相談中に聞かれたことにすぐ答えられます。
ステップ2:申し込み・料金の支払い
サービス内容に納得したら申し込みをして、料金を支払います。後払いに対応しているサービスもあります。
ステップ3:施設への連絡
退職代行が施設に電話やFAXで退職の意思を伝えます。この時点から出勤する必要はありません。
ステップ4:退職手続きの完了
退職届の提出、貸与物の返却、離職票の受け取りなど、退職に必要な手続きを進めます。郵送でやり取りできるものがほとんどです。
ステップ5:退職完了
退職手続きがすべて完了したら、退職代行から完了の報告があります。退職後は健康保険や年金の切り替え手続きを行いましょう。

介護職が退職代行を使う際の注意点
退職代行をスムーズに利用するために、事前に確認しておくべきことがあります。
返却物をまとめておく
介護施設の制服、名札、鍵、マニュアルなどの返却物は事前にまとめておきましょう。退職代行利用後は出社しないケースがほとんどなので、郵送で返却することになります。
制服などかさばる返却物は、梱包用の段ボールを先に用意しておくと、まとめてすぐに発送できます。
ロッカーの私物を事前に持ち帰る
ロッカーに私物が残っている場合は、退職代行を依頼する前に持ち帰っておきましょう。退職後に取りに行くのは気まずいですし、処分されてしまう可能性もあります。
引き継ぎメモを準備しておく
担当している利用者の情報や、業務の引き継ぎ事項を簡単にメモにまとめておくと、施設側の混乱を最小限に抑えられます。退職代行を使うからといって、すべてを放棄するわけではありません。
資格証明書のコピーを手元に置く
介護福祉士やケアマネジャーなどの資格証明書のコピーは、手元に保管しておきましょう。転職活動で必要になります。
介護職の退職代行利用に関するQ&A
Q. 夜勤のシフトが入っているが退職代行を使える?
使えます。退職代行が施設に連絡を入れた時点で、以降のシフトに出勤する必要はなくなります。ただし、当日の夜勤をドタキャンする形にならないよう、できれば翌日以降の退職日を設定するのがおすすめです。
Q. パートやアルバイトの介護職でも退職代行は使える?
使えます。雇用形態に関係なく退職代行を利用できます。パート・アルバイト向けの料金プランを用意しているサービスもあるので、確認してみましょう。
Q. 退職代行を使った後、施設から連絡が来たらどうする?
退職代行を利用した場合、施設からの連絡は退職代行を通じて行われます。直接電話がかかってきた場合は、出る必要はありません。退職代行にその旨を伝えれば、対応してくれます。
Q. 退職代行を使うと介護福祉士の資格に影響する?
影響しません。介護福祉士やケアマネジャーなどの国家資格は個人に帰属するものであり、退職方法によって取り消されることはありません。
Q. 介護職から他業種への転職は難しい?
介護職で培った対人スキルや体力は、他業種でも評価されます。介護業界内での転職であれば求人は豊富ですし、他業種への転職も十分可能です。転職エージェントを活用すると、自分に合った求人を見つけやすくなります。
Q. 退職代行を使った後、元の施設の同僚と気まずくなる?
退職代行を利用しても、多くの場合は時間が経てば気まずさは薄れます。同僚との関係が気になる場合は、退職後にLINEやメールでお礼のメッセージを送るという方法もあります。直接会う必要はないので、自分のペースで連絡すれば大丈夫です。
まとめ
介護職でも退職代行は問題なく利用できます。人手不足や引き止めで退職が難しい介護現場では、退職代行を活用することでスムーズに退職できます。サービスを選ぶ際は、有給消化の交渉ができる労働組合型か弁護士型を選びましょう。
退職前に返却物の準備や引き継ぎメモの作成をしておくと、より円滑に進みます。介護の資格に影響はないので、安心して次のステップに進んでください。


