病気やケガで仕事を休まなければならなくなったとき、気になるのが「傷病手当金っていくらもらえるの?」ということだよね。
傷病手当金は、会社員や公務員など健康保険に加入している人が、業務外の病気やケガで働けなくなった際に受け取れる公的な給付制度。でも、具体的な金額や計算方法がわからないと、不安はなかなか解消されないもの。
この記事では、傷病手当金の金額の計算方法、実際にどれくらいの手取りになるのか、そして受給時に注意すべきポイントまでしっかり解説していく。退職を考えている方にとっても大事な情報なので、ぜひ最後まで読んでみてほしい。

傷病手当金とは?受給できる条件を確認しよう
傷病手当金とは、健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やケガで仕事を連続して3日以上休み、4日目以降も働けない場合に支給される給付金のこと。
受給するためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要がある。
- 業務外の病気やケガで療養中であること
- 仕事に就くことができない状態であること(労務不能)
- 連続して3日間の待期期間を完成していること
- 待期期間後の4日目以降に給与の支払いがないこと(有給など給与が出ている期間は対象外)
ここで重要なのが「待期期間」の考え方。連続して3日間仕事を休むことで待期期間が完成し、4日目から支給対象になる。この3日間には有給休暇や土日祝日も含めてカウントできるので、覚えておこう。
なお、傷病手当金は全国健康保険協会(協会けんぽ)や各健康保険組合から支給されるもので、国民健康保険(自営業やフリーランスの方)では原則として受給できない点に注意が必要。
傷病手当金の計算方法を徹底解説
傷病手当金の日額は、次の計算式で求められる。
傷病手当金の1日あたりの金額
= 支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3
ちょっと長い計算式だけど、要するに「月給のおよそ3分の2が日割りでもらえる」と覚えておけばOK。
標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料を計算するために使われる金額のこと。毎年4月から6月の給与をもとに決められ、一定の等級に区分されている。
実際の給与がそのまま使われるわけではなく、等級表に当てはめた金額が使用される。たとえば、月給が25万円の場合、標準報酬月額は26万円(第20等級)となるケースがある。
具体的な計算例
実際の計算例を見てみよう。
【例】月給30万円(標準報酬月額30万円)の場合
- 30万円 ÷ 30日 = 1万円(1日あたりの標準報酬日額)
- 1万円 × 2/3 ≒ 6,667円(傷病手当金の日額)
- 1ヶ月(30日)あたり:6,667円 × 30日 ≒ 約20万円
つまり、月給30万円の方であれば、1ヶ月あたり約20万円が傷病手当金として支給されるイメージになる。

加入期間が12ヶ月未満の場合
健康保険の加入期間が12ヶ月に満たない場合は、計算方法が少し変わる。以下のいずれか少ない方の金額が使われることになる。
- 支給開始日の月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
- 当該年度の前年度9月30日における、加入している健康保険の全被保険者の標準報酬月額の平均額
入社して間もない時期に病気やケガで休む場合は、一般的な計算よりも低い金額になることがある点に注意しておこう。
傷病手当金の手取り額はいくら?税金と社会保険料の扱い
傷病手当金は非課税の所得として扱われる。つまり、所得税も住民税もかからない。
ただし、在職中に傷病手当金を受給している場合は、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の支払いは通常どおり必要になる。休職中は給与から天引きできないため、会社が一時的に立て替えるか、自分で会社に振り込むかたちになることが多い。
退職後に傷病手当金を受給する場合は、国民健康保険料と国民年金保険料を自分で支払う必要がある。傷病手当金の額面がそのまま手取りになるわけではないので、保険料の負担も考慮して資金計画を立てよう。
月収別の傷病手当金シミュレーション
月収ごとの傷病手当金のおおよその目安を表にまとめたので、自分の月給に近いところをチェックしてみてほしい。
| 月給(標準報酬月額) | 傷病手当金の日額 | 1ヶ月あたりの目安 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約4,444円 | 約13.3万円 |
| 25万円 | 約5,556円 | 約16.7万円 |
| 30万円 | 約6,667円 | 約20.0万円 |
| 35万円 | 約7,778円 | 約23.3万円 |
| 40万円 | 約8,889円 | 約26.7万円 |
| 50万円 | 約11,111円 | 約33.3万円 |
上記はあくまでも目安。実際の金額は標準報酬月額の等級によって変わるため、正確な金額を知りたい場合は日本年金機構の標準報酬月額表で確認しよう。
傷病手当金が減額されるケース
傷病手当金は、他の給付と重複する場合に減額や不支給となることがある。主なケースを確認しておこう。
給与が支払われている場合
休職中に会社から給与が支払われている場合、その金額が傷病手当金の日額より多ければ傷病手当金は支給されない。給与が傷病手当金より少ない場合は、差額分が支給される。
障害厚生年金・障害手当金を受給している場合
障害厚生年金や障害手当金を受給している場合も、傷病手当金と調整が行われる。年金の日額換算が傷病手当金の日額より多ければ、傷病手当金は支給されない。
老齢年金を受給している場合
退職後に傷病手当金を受給している方が老齢年金も受給している場合、老齢年金の日額が傷病手当金の日額以上であれば傷病手当金は支給されない。
出産手当金を受給している場合
出産手当金と傷病手当金の両方に該当する期間がある場合は、出産手当金が優先される。出産手当金の方が少ない場合は差額が支給される。

退職後も傷病手当金を受給する方法
傷病手当金は、一定の条件を満たせば退職後も引き続き受給できる。退職を考えている方にとってはとても重要なポイント。
退職後も受給するための条件
- 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
- 退職日に傷病手当金を受給しているか、受給条件を満たしていること
- 退職日に出勤していないこと(退職日に出勤すると資格を失う)
退職日に出勤してしまうと、退職後の傷病手当金の継続受給ができなくなる。「退職の挨拶のために」と出勤してしまうケースがあるので、十分に気をつけよう。
傷病手当金の申請方法と必要書類
傷病手当金の申請には、以下の書類が必要になる。
- 傷病手当金支給申請書:被保険者本人が記入する部分、事業主(会社)が記入する部分、療養担当者(医師)が記入する部分がある
- 医師の意見書:申請書内の「療養担当者記入用」に医師が労務不能の期間や病名を記載する
申請の流れは次のとおり。
- 医師に「労務不能」の診断を受ける
- 傷病手当金支給申請書を入手する(加入している健康保険組合のWebサイトからダウンロード可能)
- 本人記入欄を記入する
- 会社に「事業主記入欄」の記入を依頼する
- 医師に「療養担当者記入欄」の記入を依頼する(医師の意見書の費用は数百円程度)
- 健康保険組合に提出する
申請から支給までは、おおむね2週間から1ヶ月程度かかることが多い。退職後に申請する場合は、自分で直接健康保険組合に書類を郵送することになる。
傷病手当金に関するよくある質問
Q. パートやアルバイトでも傷病手当金はもらえる?
健康保険に加入していれば、パートやアルバイトでも傷病手当金を受給できる。ただし、国民健康保険に加入している場合は対象外。勤務先の健康保険に加入しているかどうかがポイントになる。
Q. 傷病手当金を受給中にアルバイトはできる?
原則として、傷病手当金は「労務不能」であることが条件なので、アルバイトをすると支給停止になる可能性がある。軽作業程度であれば認められるケースもあるが、事前に健康保険組合に確認してから行動しよう。
Q. 有給休暇を使い切ってから傷病手当金を申請すべき?
有給休暇を使うかどうかは個人の判断になる。有給休暇中は給与が満額支給されるため、まず有給を消化してから傷病手当金に切り替える方が金銭的には有利な場合が多い。ただし、有給休暇中も待期期間のカウントには含められるので、どちらを優先するかは自身の状況に合わせて判断しよう。
Q. うつ病でも傷病手当金はもらえる?
うつ病や適応障害などの精神疾患でも、医師が「労務不能」と判断すれば傷病手当金の対象になる。精神疾患による休職は増加傾向にあり、傷病手当金を利用して療養している方も多い。
Q. 傷病手当金は何回でも申請できる?
同じ病気やケガに対しては通算1年6ヶ月が上限だが、別の病気やケガであれば新たに申請することができる。ただし、同じ傷病の再発と判断されると通算されるため、医師と相談しながら進めるのがおすすめ。

まとめ
傷病手当金の金額は、標準報酬月額の平均を30で割って3分の2を掛けた額が1日分として支給される仕組みになっている。おおむね月給の約3分の2が目安で、非課税のため手取りベースではそれなりの金額になる。
退職後も条件を満たせば継続して受給できるため、退職を考えている方は事前に自分の受給額を計算し、退職後の生活費と照らし合わせて計画を立てておくことが大切。
制度を正しく理解して、安心して療養に専念できる環境を整えていこう。

