「退職代行を使えば確実に辞められる」と思っている方は多いかもしれません。しかし、実際には退職代行を利用したにもかかわらず、トラブルに発展してしまうケースもあります。
退職代行の失敗事例やトラブルの多くは、業者選びの段階で防ぐことが可能です。逆に言えば、業者選びを間違えると思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあるということです。
本記事では、退職代行で実際に起きた失敗事例やトラブルを紹介しながら、それぞれの原因と回避策を分かりやすく解説します。これから退職代行の利用を検討している方は、ぜひ一読してから業者選びに臨んでください。

退職代行で実際に起きた失敗事例
退職代行に関する失敗事例は、大きく分けて「業者側の問題」「法律的な問題」「会社とのトラブル」の3パターンに分類できます。それぞれの具体例を見ていきましょう。
事例1:振り込み後に業者と連絡が取れなくなった
最も深刻なトラブルの一つが、料金を振り込んだ直後に業者との連絡が途絶え、退職手続きが行われないまま返金もされないというケースです。いわゆる「持ち逃げ」の被害で、悪質な業者に当たってしまった場合に起こります。
このようなトラブルを防ぐためには、実績のある業者を選ぶことが最も重要です。口コミや運営元の情報をしっかり確認し、怪しいと感じたら利用を避けましょう。
事例2:民間業者が違法な「交渉」を行ってしまった
弁護士資格を持たない民間業者が、会社と「交渉」を行ってしまうケースがあります。これは弁護士法第72条に抵触する「非弁行為」にあたり、退職手続き自体が無効になるリスクがあります。
民間業者ができるのは、あくまで退職の意思を「伝達」することだけです。有給消化の交渉や退職条件の調整が必要な場合は、労働組合型か弁護士型の退職代行を選ぶ必要があります。
事例3:上司から直接連絡が来てしまった
退職代行を利用したにもかかわらず、社長や上司から本人に直接連絡が来るケースも少なくありません。「本人に直接確認したい」「退職代行の依頼を怪しんでいる」といった理由で、電話やメッセージが送られてくることがあります。
退職代行から「本人への直接連絡は控えてほしい」と伝えてもらうことは可能ですが、法的な強制力はありません。連絡が来ても対応しないでおけば問題ないケースが大半ですが、精神的な負担になることは覚悟しておく必要があります。
事例4:退職代行業者の逮捕・サービス停止
2026年2月には、退職代行「モームリ」の運営会社「アルバトロス」の社長らが弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕される事件がありました。利用者にとっては、サービスが突然停止してしまうリスクがあることを示す事例です。
業者を選ぶ際は、運営元の法的な体制が整っているかどうかを確認することが重要です。

退職代行で起こりやすいトラブルパターン
有給消化ができなかった
民間業者に依頼した場合、有給消化の「交渉」ができないため、会社側に有給消化を拒否されてそのまま退職になってしまうケースがあります。有給消化を希望する場合は、必ず労働組合型か弁護士型の退職代行を選びましょう。
退職金がもらえなかった
退職代行を使ったことを理由に退職金の支払いを拒否される事例もあります。法的には退職代行の利用と退職金の支払いは別問題ですが、会社によっては不当に拒否してくるケースがあります。このような場合は弁護士型の退職代行を利用するか、別途弁護士に相談する必要があります。
懲戒解雇を示唆された
「退職代行を使うなら懲戒解雇にする」と会社から脅されるケースも報告されています。しかし、退職代行を使ったこと自体が懲戒解雇の理由になることはありません。懲戒解雇には厳格な要件が定められており、不当な懲戒解雇は法的に無効です。
必要書類が届かない
退職後に離職票や源泉徴収票が届かないというトラブルもあります。退職代行の中には書類の受け取りまでサポートしてくれるサービスもあるため、アフターフォローの内容を事前に確認しておくことが大切です。
- 上司からの直接連絡 → 対応せず退職代行に報告
- 有給消化の拒否 → 労働組合型・弁護士型なら交渉可能
- 懲戒解雇の脅し → 法的根拠がなければ無効(弁護士に相談)
- 書類が届かない → 退職代行のアフターフォローを活用
退職代行の失敗を防ぐための業者選びのポイント
ポイント1:運営元の法的な立場を確認する
退職代行は「民間業者型」「労働組合型」「弁護士型」の3タイプがあります。それぞれできることが異なるため、自分の状況に合ったタイプを選ぶことが最も重要です。
- 民間業者型:退職の意思の「伝達」のみ。交渉は不可。料金は安い(2万円前後)
- 労働組合型:伝達に加え、有給消化・退職条件の「交渉」が可能。料金は中程度(2〜3万円)
- 弁護士型:交渉に加え、損害賠償請求・訴訟対応も可能。料金は高い(5〜10万円)
ポイント2:実績と口コミを確認する
運営歴が長く、実績件数が多い業者は信頼性が高いと言えます。口コミサイトやSNSでの評判も参考にしつつ、極端に良い評価ばかりのサービスには注意しましょう。
ポイント3:返金保証の有無を確認する
返金保証がある業者は、自社のサービスに自信がある証拠です。万が一退職が成立しなかった場合に備えて、返金保証の条件をしっかり確認しておきましょう。
ポイント4:料金の透明性を確認する
「基本料金は安いが、追加料金が次々と発生する」というトラブルも報告されています。料金体系が明確で、追加費用が発生しないことが明記されている業者を選びましょう。
ポイント5:アフターフォローの内容を確認する
退職が成立した後も、離職票や社会保険の手続きなどでサポートが必要になることがあります。退職後のフォロー体制が整っている業者を選ぶと安心です。
退職代行のGW明け・年末年始に注意
退職代行の利用が急増する時期があります。特にGW明けは退職希望者が殺到するため、業者側も多くの案件を抱えることになります。その結果、対応が遅れたりスムーズに進まなかったりするリスクがあります。
繁忙期に利用する場合は、早めに相談を始めることをおすすめします。直前になって慌てて申し込むよりも、余裕を持って準備を進めたほうがトラブルを避けやすくなります。
参考:退職代行で実際に起きたトラブル事例(辞めると決めたら退職ナビ)
退職に関する法律の基本
退職代行を利用する際に知っておくべき法律をまとめます。
民法第627条により、期間の定めのない雇用契約(正社員など)では、退職の意思表示から2週間で退職が成立します。会社の承認は不要です。
弁護士法第72条では、弁護士でない者が法律事務を取り扱うことを禁止しています。民間業者が会社と「交渉」を行うと、この規定に抵触する可能性があります。一方、労働組合は憲法第28条で保障された団体交渉権に基づいて交渉を行えるため、合法です。
参考:退職代行が失敗することはある?(労働問題弁護士ガイド)

よくある質問(Q&A)
Q. 退職代行を使って失敗する確率はどのくらいですか?
A. 実績のある業者であれば、退職自体が失敗する可能性は非常に低いです。多くの業者が退職成功率100%を公称しています。ただし、有給消化や退職金の交渉がうまくいかないケースは一定数あります。
Q. 退職代行を使ったら損害賠償を請求されることはありますか?
A. 退職代行を利用したこと自体で損害賠償を請求されるケースは極めてまれです。ただし、重要なプロジェクトの途中で突然退職するなど、会社に著しい損害を与えた場合はリスクがゼロとは言えません。心配な方は弁護士型の退職代行を選びましょう。
Q. 退職代行で失敗した場合、返金してもらえますか?
A. 返金保証がある業者であれば、退職が成立しなかった場合に全額返金してもらえます。ただし、返金の条件は業者によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
Q. 安い退職代行は危険ですか?
A. 安さだけで業者を選ぶのはリスクがあります。極端に安い業者(1万円以下など)は、サービスの質が低かったり、悪質な業者である可能性もあります。料金の安さだけでなく、運営元の信頼性や口コミも総合的に判断しましょう。
まとめ
退職代行の失敗やトラブルは、業者選びの段階で防げるケースがほとんどです。運営元の法的立場、実績、料金の透明性、アフターフォローの内容をしっかり確認してから依頼することが、トラブルを避ける最大のポイントです。
特に注意すべきは、民間業者による違法な「交渉」と、振り込み後の連絡途絶えです。労働組合型か弁護士型を選び、実績のある業者に依頼すれば、こうしたリスクは大幅に軽減されます。
退職は人生の大きな決断です。焦らず、信頼できる業者を見極めてから依頼することをおすすめします。まずは無料相談を活用して、複数の業者を比較検討してみてください。


