退職が決まったら引き継ぎマニュアルを作成する必要がありますが、「何をどう書けばいいかわからない」という方は少なくありません。ゼロから作るのは大変に感じますよね。
引き継ぎマニュアルは、テンプレートに沿って項目を埋めていくだけで、誰でも作成できます。この記事では、実際に使えるテンプレートの項目と、わかりやすいマニュアルを作るコツを解説します。

引き継ぎマニュアルのテンプレート項目
以下のテンプレートに沿って情報を埋めていけば、必要十分な引き継ぎマニュアルが完成します。
1. 業務概要
- 業務名
- 業務の目的・背景
- 担当範囲
- 関連する部署・チーム
- 年間スケジュール(繁忙期など)
2. 業務フロー・手順
- 業務の流れ(フローチャート形式が理想)
- 各ステップの詳細手順
- 使用するシステム・ツール(ログイン情報含む)
- 必要な書類・テンプレート
- 承認フロー(誰に何を確認するか)
3. 関係者リスト
| 関係者名 | 所属 | 連絡先 | やり取りの内容 |
|---|---|---|---|
| (例)田中さん | 営業部 | 内線1234 | 月次レポートの提出先 |
| (例)鈴木さん | A社 | 03-xxxx-xxxx | 発注書の送付先 |
4. 注意事項・トラブル対応
- 過去に発生したトラブルとその対処法
- やりがちなミスとその防止策
- 例外的な対応が必要なケース
- 緊急時の連絡先と対応手順
5. ファイル・データの保管場所
- 共有フォルダの場所とフォルダ構成
- 重要なファイルの名前と場所
- バックアップの方法と頻度
6. 定期業務のスケジュール
| 頻度 | 業務内容 | 期限 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 毎日 | メール対応・問い合わせ確認 | 当日中 | 優先度の高いものから対応 |
| 毎週月曜 | 週次レポートの作成・提出 | 月曜17時 | テンプレートは共有フォルダに |
| 毎月5日 | 月次売上集計 | 5日中 | 経理部に提出 |
| 四半期末 | 予算実績報告 | 翌月10日 | 部長承認後に提出 |

わかりやすいマニュアルを作る5つのコツ
コツ1:読み手の目線で書く
自分にとっての「当たり前」は、後任者にとっては「知らないこと」です。「〇〇システムにログインする」だけでなく「URLは〇〇、IDは△△、パスワードは□□」まで書くのが親切です。「そのぐらいわかるだろう」という思い込みが引き継ぎの最大の敵です。入社1日目の新人が読んでも業務を回せるくらいの詳しさが理想です。
コツ2:スクリーンショットを多用する
システム操作の手順は、文字だけでなくスクリーンショットを添付すると格段にわかりやすくなります。「この画面のこのボタンをクリック」が一目でわかります。Windowsなら「Snipping Tool」、Macなら「Shift+Command+4」で簡単にスクリーンショットが撮れます。重要なボタンや入力欄は赤い枠で囲むとさらにわかりやすくなります。
コツ3:「なぜ」も書く
手順だけでなく、「なぜこの作業が必要なのか」という目的も記載しましょう。目的がわかっていれば、イレギュラーな事態にも応用が利きます。たとえば「毎月5日にデータを集計する」だけでなく、「経理部への月次報告に使うため、毎月5日までに前月分のデータを集計する。遅れると経理部の決算作業に影響する」と書いておけば、後任者も締切の重要性を理解できます。
コツ4:一つの業務を一つのページに
業務ごとにページ(または見出し)を分けて書くと、必要な情報にすぐアクセスできます。目次をつけるとさらに使いやすくなります。1つのドキュメントに全業務を詰め込むのではなく、「請求書作成マニュアル」「月次報告マニュアル」など、業務単位でファイルを分けると検索性が上がります。
コツ5:後任者にレビューしてもらう
マニュアルを作成したら、後任者に読んでもらい、わからない部分を指摘してもらいましょう。この工程を入れるだけで、マニュアルの品質が大幅に向上します。後任者が実際にマニュアルを見ながら業務を行い、つまずいた箇所をフィードバックしてもらうのが最も効果的です。
業務別のマニュアル記載例
営業事務の場合
- 見積書・請求書の作成手順
- 受発注の管理方法
- 顧客データベースの使い方
- 月次売上レポートの作成方法
- 取引先ごとの特記事項(支払い条件・連絡方法の好みなど)
経理の場合
- 仕訳のルールと勘定科目表
- 経費精算の承認フロー
- 月次決算の手順
- 税務申告のスケジュール
- 銀行口座の管理方法・振込手順
エンジニアの場合
- 開発環境のセットアップ手順
- デプロイの手順と注意点
- コードレビューのルール
- 障害発生時の対応フロー
- 各リポジトリの概要と担当範囲
マニュアル作成の時間配分の目安
業務量にもよりますが、引き継ぎマニュアルの作成は以下のペースで進めるのが現実的です。1日目〜2日目は業務の棚卸しとリスト作成に集中しましょう。3日目〜5日目は主要業務の手順書作成(スクリーンショット撮影含む)に充てます。6日目〜7日目は関係者リストやトラブル事例の整理、8日目以降は後任者へのレビュー依頼と修正作業に使います。通常業務と並行して作成する場合は、毎日1〜2時間をマニュアル作成に確保すると、2週間で完成させることができます。
パスワードやアクセス権限の情報は、セキュリティに配慮して管理しましょう。マニュアルに直接書かず、上司や情報管理者を通じて引き継ぐのが安全です。
よくある質問(Q&A)
Q. マニュアル作成にどれくらい時間がかかりますか?
A. 業務量によりますが、一般的な事務職であれば1〜2週間が目安です。担当業務が5つ以下ならスムーズに進みますが、10以上の業務を抱えている場合は3週間程度かかることもあります。退職日から逆算して、作成にかかる時間を考慮し、早めに着手しましょう。
Q. マニュアルはWordとExcelのどちらで作るべきですか?
A. 手順書はWord(またはGoogleドキュメント)、一覧表やスケジュールはExcelが使いやすいです。組み合わせて使うのがおすすめです。
Q. マニュアルを作る時間がない場合は?
A. 最低限「業務一覧」「関係者リスト」「定期業務のスケジュール」の3つだけでも作成しましょう。この3点は合計2〜3時間で作れることが多いです。これだけあれば後任者は業務の全体像を把握でき、細かい手順は口頭で補足する形でもカバーできます。
Q. マニュアルは会社のものですか、自分のものですか?
A. 業務中に作成したマニュアルは会社の著作物です。退職時に持ち出すことはできません。個人的なメモは別ですが、会社の機密情報を含む場合は持ち出さないようにしましょう。
Q. 後任者がまだ決まっていない場合もマニュアルは必要ですか?
A. はい、必要です。後任者が決まっていなくても、上司やチームメンバーが一時的に業務をカバーするために、マニュアルは不可欠です。
まとめ:引き継ぎマニュアルはテンプレート活用で効率よく
- テンプレートに沿って作成:業務概要・手順・関係者・注意事項・ファイル場所・スケジュール
- 読み手目線で書く:初心者でもわかるレベルを目指す
- スクリーンショットを活用:操作手順は画像があると格段にわかりやすい
引き継ぎ資料の作成にはアスナレッジの引き継ぎマニュアル解説が参考になります。Asanaの引き継ぎ計画ガイドや引き継ぎ.comの会社側ガイドもあわせて確認してください。



