退職を考えたとき、真っ先に頭をよぎるのが「お金のこと」ではないでしょうか。「貯金がいくらあれば安心して辞められるのか」は、多くの方が知りたいポイントです。
退職に必要な貯金額は、転職までの期間・家族構成・利用できる公的制度によって大きく変わります。この記事では、状況別の貯金目安と、具体的な資金計画の立て方を解説します。

退職に必要な貯金額の目安【状況別】
| 状況 | 必要な貯金の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 転職先が決まっている | 生活費1ヶ月分 | 給与の空白期間をカバー |
| 転職活動中(失業保険あり) | 生活費3ヶ月分 | 給付開始までのつなぎ |
| 転職先未定(失業保険なし) | 生活費6ヶ月分 | 転職活動期間+生活費 |
| しばらく休養したい | 生活費6〜12ヶ月分 | 療養期間+転職活動期間 |
月々の生活費を正確に把握する
一人暮らしの場合
一般的な一人暮らしの月額生活費は15万円〜20万円程度です。地域によって大きく差があり、東京23区内なら20万円前後、地方都市なら12〜15万円程度が目安です。内訳の目安は以下の通りです。
- 家賃:5万円〜8万円
- 食費:3万円〜4万円
- 光熱費:1万円〜1.5万円
- 通信費:5,000円〜1万円
- 交通費:5,000円〜1万円
- 雑費・交際費:2万円〜3万円
家族持ちの場合
配偶者と子どもがいる場合、月額25万円〜35万円程度が目安です。住宅ローンがある場合は、その返済額も必ず計算に入れましょう。
退職後に増える支出
退職すると、以下の支出が新たに発生します。
- 国民健康保険料:月1万円〜5万円程度(前年の所得による)
- 国民年金保険料:月約17,920円(2026年度)
- 住民税:前年の所得に基づく(退職しても減らない)

失業保険でカバーできる金額
失業保険の受給額の目安
失業保険の日額は、退職前の給与の約50〜80%です。月額に換算すると以下が目安です。
| 退職前の月給 | 失業保険の月額目安 |
|---|---|
| 20万円 | 約13万円〜15万円 |
| 30万円 | 約17万円〜20万円 |
| 40万円 | 約20万円〜22万円 |
給付開始のタイミング
自己都合退職の場合、給付制限期間は1ヶ月です。7日間の待期期間+1ヶ月の給付制限期間を経てから受給が始まります。会社都合退職の場合は7日間の待期期間のみです。
失業保険だけでは足りない分
失業保険は退職前の給与の全額ではないため、差額分は貯蓄でカバーする必要があります。この差額×転職までの月数が、最低限必要な貯蓄額の目安になります。たとえば、月給30万円の方が失業保険で月18万円受給できる場合、差額は月12万円です。転職活動に3ヶ月かかると想定すると、12万円×3ヶ月=36万円が最低限必要な貯蓄額という計算になります。さらに、自己都合退職の場合は給付制限期間の1ヶ月分(生活費まるまる1ヶ月分)も上乗せして計算しておくと安心です。
貯金を増やすための退職前の対策
固定費を見直す
退職前に固定費を削減しておくと、退職後の生活費が下がります。携帯電話のプラン変更、サブスクリプションの解約、保険の見直しなど、月数千円でも積み重なれば大きな差になります。具体的には、大手キャリアから格安SIMに切り替えれば月5,000円前後の節約が可能です。使っていない動画配信サービスやジムの会費なども見直しましょう。
ボーナス後の退職を検討する
ボーナス支給日の後に退職日を設定すると、まとまった資金を確保できます。多くの会社は6月と12月にボーナスを支給するため、退職時期の計画に組み込みましょう。ボーナスの支給日と支給条件(在籍日など)を就業規則で事前に確認しておくことが重要です。「退職届を出した後はボーナスを支給しない」という規定がある会社もあるため、タイミングには注意が必要です。
在職中に転職先を決める
無職期間を作らないことが最大の節約です。在職中の転職活動は大変ですが、経済的なリスクを最小限にできます。転職エージェントを活用すれば、面接の日程調整や年収交渉を代行してもらえるので、働きながらでも効率よく転職活動を進められます。
貯金がない・少ない場合の対策
失業保険の受給を最大限活用する
失業保険の受給条件を満たしていれば、収入ゼロにはなりません。ハローワークで受給額と給付日数を事前に確認しましょう。自己都合退職の場合、給付日数は雇用保険の加入期間によって異なり、1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。たとえば勤続5年で月給25万円の場合、約月15万円を90日間(約3ヶ月間)受給できる計算になります。ハローワークの窓口で「退職したらいくらもらえるか」を事前に試算してもらうことも可能です。
住居確保給付金を利用する
離職後に家賃の支払いが困難になった場合、住居確保給付金で最大9ヶ月間の家賃補助を受けられる可能性があります。市区町村の自立相談支援機関に相談してください。この制度は意外と知られていませんが、離職後に一定の要件を満たせば家賃相当額が自治体から直接家主に支払われるため、非常に心強い制度です。
国民健康保険料の減額申請
会社都合退職の場合は国保の減額制度が利用できます。前年の給与所得を30/100として計算されるため、保険料が大幅に下がります。たとえば年収400万円だった方の場合、通常なら月2〜3万円の保険料が数千円程度にまで下がることもあります。退職理由が自己都合でも、退職前にハラスメントなどがあった場合は会社都合に変更できる可能性があるので、ハローワークに相談してみましょう。
- 失業保険(雇用保険の基本手当)
- 住居確保給付金(家賃補助)
- 国保の減額制度(会社都合退職の場合)
- 国民年金の免除・猶予制度
- 緊急小口資金・総合支援資金の貸付

よくある質問(Q&A)
Q. 貯金ゼロでも退職できますか?
A. 転職先が決まっていれば可能です。転職先が未定の場合は、最低でも1ヶ月分の生活費を確保してからの退職をおすすめします。失業保険が受けられるかどうかも事前に確認しましょう。
Q. 退職金はあてにしていいですか?
A. 退職金の支給時期は会社によって異なりますが、退職後1〜2ヶ月後の支給が一般的です。すぐに手元に入るわけではないため、退職金が入るまでのつなぎ資金は別途確保しておきましょう。
Q. 失業保険はいくらもらえますか?
A. 退職前6ヶ月間の給与をもとに計算されます。おおよそ月給の50〜80%が日額の基準になり、年齢や給与額によって上限が設定されています。
Q. 国民年金の支払いが厳しい場合は?
A. 退職による収入減少を理由に、国民年金の免除または猶予申請ができます。市区町村の窓口で手続き可能です。将来の年金額は減りますが、追納も可能です。
Q. 副業で退職前に貯蓄を増やすのはありですか?
A. 就業規則で副業が禁止されていなければ問題ありません。副業で月数万円の収入があれば、退職後の資金的な安心感が大きく変わります。
まとめ:退職に必要な貯金は「計算すれば見える」
退職に必要な貯金額は、漠然と不安になるのではなく具体的に計算することで明確になります。
- 月々の支出を書き出す:退職後に増える支出も忘れずに
- 失業保険の受給額を確認:不足分が必要な貯蓄額
- 公的制度をフル活用:減額・免除・給付金を総動員
失業保険の具体的な受給額はハローワークで確認できます。住居確保給付金については厚生労働省の生活困窮者支援ページを参照してください。ハタラクティブの退職貯金ガイドも参考になります。



