「入社したばかりだけど、もう辞めたい…」「新卒で退職代行を使うのは甘えだと思われない?」そんな不安を抱えている方は少なくありません。実は、新卒であっても退職代行サービスは問題なく利用できます。法律上、入社1日目であっても退職の意思表示は自由に行えるのです。
近年、入社直後から退職代行を利用する新卒社員は増加傾向にあります。2026年4月には入社3日間だけで新入社員からの依頼が全体の3割を占めたという報道もありました。「石の上にも三年」という時代はもう終わり、自分のキャリアを主体的に考える若者が増えています。
この記事では、新卒が退職代行を使う際の法的根拠から、サービスの選び方、利用時の注意点まで詳しく解説します。

新卒でも退職代行を使える法的根拠
まず確認しておきたいのが、新卒であっても退職代行を利用することに法的な問題は一切ないという点です。その根拠は民法第627条第1項にあります。
民法第627条第1項では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と定められています。つまり正社員(期間の定めのない雇用)であれば、退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社の承諾がなくても雇用関係は終了します。
退職代行サービスは、この退職の意思表示を本人に代わって会社に伝えるものです。入社1日目であっても、1ヶ月目であっても、この権利は変わりません。
- 民間業者型:退職の意思を「伝達」する(交渉はできない)
- 労働組合型:団体交渉権に基づき会社と「交渉」できる
- 弁護士型:法的手続きを含むすべての対応が可能
なお、労働組合が運営する退職代行は、日本国憲法第28条で保障された団体交渉権を行使できるため、有給消化や退職日の調整などの交渉も合法的に行えます。弁護士が対応するサービスであれば、未払い残業代の請求など、より踏み込んだ対応も可能です。
新卒が退職代行を使うべきケースとは
新卒で退職代行を使うことに迷いがある方も多いでしょう。以下のようなケースでは、退職代行の利用を前向きに検討する価値があります。
労働条件が入社前の説明と違う
入社前に聞いていた条件と実際の労働環境が大きく異なる場合は、退職の正当な理由になります。求人票に書かれていた給与・勤務時間・仕事内容と実態が異なるケースは、新卒の退職理由として最も多いものの一つです。
パワハラ・セクハラなどのハラスメントがある
職場でハラスメントを受けている場合、精神的な健康を守るためにも早期の退職が望ましいことがあります。特に新卒の場合、「自分が我慢すればいい」と考えがちですが、ハラスメントは放置すればするほど心身への影響が大きくなります。
体調を崩している・崩しかけている
過度なストレスにより体調不良が続いている場合も、退職代行の利用を検討すべきタイミングです。うつ病や適応障害などの精神疾患は、早期に環境を変えることで回復が早まるケースが多く報告されています。
上司が怖くて退職を言い出せない
「辞めたいと言ったら怒られそう」「引き止められたら断れない」という不安は、新卒に限らず多くの方が抱えるものです。退職代行を使えば、上司と直接やり取りすることなく退職手続きを進められます。

新卒が退職代行サービスを選ぶ際のポイント
退職代行サービスにはさまざまな種類があり、それぞれ対応範囲や料金が異なります。新卒の方がサービスを選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。
運営元の種類を確認する
退職代行サービスは大きく3つのタイプに分かれます。
- 民間業者型(1〜3万円程度):退職の意思伝達のみ。シンプルに辞めたい方向け
- 労働組合型(2〜3万円程度):有給消化や退職日の交渉が可能。コスパ重視の方に
- 弁護士型(5〜10万円程度):法的トラブルの対応も可能。複雑なケースに強い
新卒の方には、費用を抑えつつ交渉もできる労働組合型のサービスがバランスが良いでしょう。有給が残っていない場合や特にトラブルがない場合は民間業者型でも十分です。
料金体系が明確かどうか
追加料金の有無は必ず確認してください。「基本料金は安いが、オプション費用が後から発生する」というサービスもあります。総額でいくらかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。
即日対応が可能か
「もう明日から出勤したくない」という方には、即日対応してくれるサービスを選ぶことが重要です。多くの退職代行サービスはLINEでの相談を受け付けており、早ければ当日中に会社への連絡まで完了します。
アフターフォローの内容
退職後の書類(離職票・源泉徴収票など)の受け取りサポートや、転職支援があるかどうかも確認しましょう。新卒での退職は次のステップが重要になるため、転職エージェントとの提携があるサービスはメリットが大きいです。
新卒が退職代行を使う際の注意点
退職代行を使えばスムーズに退職できることがほとんどですが、いくつか注意しておくべきポイントがあります。
退職理由は「一身上の都合」で問題ない
退職届に書く理由は「一身上の都合」で十分です。詳しい理由を書く必要はありません。退職代行サービスの担当者が、退職届の書き方についてもアドバイスしてくれます。
会社からの連絡は基本的に無視してOK
退職代行を利用した後、会社から直接電話やメールが来ることがあります。しかし、退職代行を通じて『本人への直接連絡は控えてほしい』と伝えてもらえるため、基本的には対応する必要はありません。ただし、会社の貸与物(社員証・制服・PCなど)の返却は必要です。郵送で対応できるケースがほとんどです。
有給休暇が残っている場合は消化できる
入社後6ヶ月以上勤務し、出勤率が8割以上であれば、年次有給休暇が付与されます。新卒で入社半年未満の場合は有給がないケースもありますが、会社独自の規定で入社日から有給が付与される場合もあるので確認してみましょう。
社会保険・健康保険の切り替え手続き
退職後は健康保険の切り替えが必要になります。次の就職先が決まっていない場合は、国民健康保険への加入か、任意継続被保険者制度を利用することになります。詳しくは日本年金機構の公式サイトで確認できます。

新卒退職後のキャリアはどうなる?
「新卒で辞めたら転職に不利になるのでは?」と心配する方もいるでしょう。結論から言えば、新卒での早期退職が転職活動に大きく不利になることは少ないです。
第二新卒として転職できる
新卒入社後3年以内に退職した場合、「第二新卒」として転職活動ができます。第二新卒は企業側からの需要も高く、多くの転職エージェントが第二新卒向けの求人を豊富に扱っています。
厚生労働省の若者雇用促進に関するページでは、若年者の再就職支援について情報が公開されています。
面接での退職理由の伝え方
転職面接では退職理由を聞かれることがあります。その際はネガティブな理由をそのまま伝えるのではなく、「より自分に合った環境で成長したい」「特定の分野でキャリアを築きたい」など、前向きな表現に変換して伝えることが効果的です。
退職代行を使ったこと自体を面接で伝える必要はありません。あくまで「一身上の都合で退職した」と説明すれば問題ありません。
退職後にやるべきこと
- 健康保険の切り替え(退職後14日以内)
- 国民年金への加入手続き
- 住民税の支払い方法の確認
- 離職票の受け取り(ハローワークでの失業保険申請に必要)
- 源泉徴収票の受け取り(年末調整・確定申告に必要)
- 転職エージェントへの登録
GW明けは退職代行の依頼が急増する時期
毎年、ゴールデンウィーク明けは退職代行の依頼が急増する傾向にあります。特に新卒の方はGWの連休中に改めて仕事について考え、「やっぱり辞めたい」と決断するケースが多いようです。
依頼が集中する時期は退職代行業者側も対応に追われるため、通常よりもレスポンスが遅くなる可能性があります。退職を考えている方は、繁忙期を避けて早めに相談しておくとスムーズです。
厚生労働省の労働基準関係ページでは、労働条件に関する相談窓口の情報が掲載されています。退職代行の利用前に、公的な相談窓口を利用してみるのも一つの選択肢です。

よくある質問(Q&A)
Q. 入社1ヶ月でも退職代行は使えますか?
A. はい、問題なく使えます。民法第627条により、正社員であれば退職の意思を伝えてから2週間で雇用関係は終了します。入社期間に関係なく、退職は労働者の権利です。
Q. 退職代行を使ったことが次の会社にバレますか?
A. 基本的にバレることはありません。退職代行の利用履歴が転職先に伝わる仕組みはなく、前職の会社が退職方法を転職先に伝えることも通常ありません。
Q. 新卒で退職代行を使うと損害賠償を請求されますか?
A. 通常の退職で損害賠償を請求されることは極めてまれです。退職は労働者の正当な権利であり、適切な手順で退職すれば法的なリスクはほぼありません。
Q. 親に退職代行を使ったことがバレますか?
A. 退職代行サービスから親に連絡することはありません。ただし会社が緊急連絡先として親に連絡するケースがまれにあります。事前に退職代行サービスに「親への連絡を控えてほしい」と伝えておくと安心です。
まとめ
新卒であっても退職代行サービスは問題なく利用できます。民法の規定により退職は労働者の権利として保障されており、入社直後であっても自由に退職の意思を伝えることができます。
退職代行サービスを選ぶ際は、運営元の種類(民間・労働組合・弁護士)、料金体系の明確さ、即日対応の可否、アフターフォローの内容をしっかり確認しましょう。
無理をして体や心を壊してしまう前に、プロの力を借りて新しいスタートを切ることも立派な選択肢の一つです。


