退職代行を使って無事に退職できたのはいいけれど、「退職後の手続きって何をすればいいの?」と不安になっている方は多いはずです。
会社を辞めると、今まで会社が代わりにやってくれていた健康保険や年金の手続きをすべて自分で行う必要があります。手続きを放置すると、医療費が全額自己負担になったり、将来の年金額が減ったりするリスクがあるので、早めの対応が重要です。
この記事では、退職代行で退職した後にやるべき手続きを、時系列のリスト形式でわかりやすく整理しました。「何を」「いつまでに」「どこで」やればいいのかを明確にしているので、順番にこなしていけば大丈夫です。

退職後の手続き一覧(タイムライン)
まずは、退職後にやるべき手続きの全体像を把握しましょう。期限が早いものから順に並べています。
| 手続き | 期限 | 届出先 |
|---|---|---|
| 健康保険の切り替え | 退職日翌日〜14日以内 | 市区町村の窓口 or 健保協会 |
| 年金の切り替え | 退職日翌日〜14日以内 | 市区町村の窓口 |
| 住民税の確認 | 退職後すみやかに | 市区町村の窓口 |
| 失業保険の申請 | 退職後すみやかに | ハローワーク |
| 確定申告 | 翌年2月16日〜3月15日 | 税務署 |
特に健康保険と年金は退職日の翌日から14日以内が期限なので、退職したらできるだけ早く動きましょう。
健康保険の手続き:3つの選択肢
退職すると会社の健康保険(社会保険)から外れます。無保険のまま放置すると、病院にかかった場合に医療費が全額自己負担(10割負担)になってしまいます。以下の3つの選択肢から自分に合ったものを選びましょう。
選択肢1:国民健康保険に加入する
届出先:お住まいの市区町村の窓口(国民健康保険課)
期限:退職日の翌日から14日以内
持ち物:本人確認書類、退職日がわかる書類(離職票・資格喪失証明書など)、マイナンバーカード
国民健康保険は、会社の健康保険を抜けた人が加入する公的医療保険です。保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、前年の収入が高い人は保険料もかなり高額になることがあります。
ただし、退職による収入減少がある場合は「非自発的失業者の軽減制度」を利用できることがあります。この制度を使うと、保険料の算定基準となる所得を100分の30にしてもらえます。会社都合退職や特定理由離職者に該当する場合は、窓口で必ず確認しましょう。
選択肢2:任意継続被保険者になる
届出先:加入していた健康保険組合(協会けんぽの場合は年金事務所)
期限:退職日の翌日から20日以内
条件:退職前に継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること
任意継続は、退職前に加入していた健康保険を最大2年間そのまま継続できる制度です。保険料は会社負担分も自分で払うため、在職中の約2倍になりますが、上限額が設定されているため、前年の収入が高い人は国保より安くなるケースがあります。
任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは個人の所得状況によって異なるため、両方の保険料を試算してから決めるのがベストです。市区町村の窓口で国保の保険料概算を教えてもらい、任意継続の保険料と比較しましょう。退職代行と失業保険の関係については以下の記事でさらに詳しく解説しています。

選択肢3:家族の扶養に入る
届出先:家族が勤務する会社の健康保険組合
条件:年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)かつ被保険者の収入の半分未満
配偶者や親など、家族の健康保険の扶養に入れれば保険料は0円です。退職後に収入がなくなり、今後の見込み年収が130万円未満であれば扶養に入れる可能性があります。扶養に入るための手続きは、家族の勤務先を通じて行います。
年金の手続き:厚生年金から国民年金へ
会社を退職すると、厚生年金から国民年金(第1号被保険者)に切り替える必要があります。手続きを怠ると未加入期間が発生し、将来の年金受給額が減ってしまいます。
届出の方法
届出先:お住まいの市区町村の窓口(国民年金課)
期限:退職日の翌日から14日以内
持ち物:年金手帳またはマイナンバーカード、退職日がわかる書類、本人確認書類
国民年金の保険料は月額16,980円(2026年度)です。収入がなく保険料の支払いが厳しい場合は「免除制度」を必ず活用しましょう。
保険料の免除・猶予制度
退職後に収入がない場合、以下の制度を利用できます。
①全額免除
前年の所得が一定以下であれば、保険料の全額が免除されます。全額免除期間中も年金の受給資格期間に算入され、将来の年金額は通常の2分の1が保障されます。
②一部免除(4分の3免除・半額免除・4分の1免除)
所得に応じて保険料の一部が免除されます。
③納付猶予(50歳未満対象)
所得が一定以下の50歳未満の方が対象。保険料の支払いが猶予されますが、追納しないと年金額には反映されません。
④退職(失業)特例免除
退職者向けの特例制度で、前年の所得が高くても退職を理由に免除が認められやすいのが特徴です。離職票やハローワークの受給資格者証があれば申請できます。退職代行で退職した方は、この制度を積極的に活用しましょう。
免除の申請は市区町村の窓口で行います。申請には退職を証明する書類(離職票など)が必要なので、届いたらすぐに手続きしてください。


失業保険(雇用保険の基本手当)の手続き
退職後に次の仕事が見つかるまでの間、失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)を受給できます。退職代行で退職した場合でも、条件を満たしていれば問題なく受給できます。
受給条件
・退職日以前の2年間で雇用保険に12ヶ月以上加入していること(会社都合退職の場合は6ヶ月以上)
・働く意思と能力があり、積極的に求職活動をしていること
・ハローワークに求職の申し込みをしていること
手続きの流れ
①離職票を受け取る
退職後、会社から離職票が届きます(通常2〜4週間)。届かない場合は退職代行に催促を依頼するか、ハローワークに相談しましょう。
②ハローワークで求職申し込み
離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークに行きます。持ち物は離職票、マイナンバーカード、写真2枚(縦3cm×横2.4cm)、印鑑、通帳です。
③7日間の待期期間
申し込み後、7日間の待期期間があります。この間はアルバイトも含めて働くことができません。
④給付制限期間(自己都合退職の場合)
自己都合退職の場合、待期期間の後に1ヶ月の給付制限期間があります(2025年4月の法改正で2ヶ月から短縮。5年間で3回目以降の離職は3ヶ月)。この期間中は失業保険が支給されません。ただし、パワハラやセクハラが原因の退職は「特定受給資格者」に該当し、給付制限なしで受給できる可能性があります。
⑤失業認定日に出頭
4週間に1回、ハローワークで失業の認定を受けます。求職活動の実績(最低2回)を報告する必要があります。
受給額の目安
失業保険の日額は、退職前6ヶ月の賃金の約50〜80%です。年齢や賃金によって上限額が異なりますが、月額で15〜20万円程度が一般的な目安です。受給期間は、自己都合退職の場合で90〜150日間です。
その他の手続きと退職後にやるべきこと
住民税の支払い方法変更
在職中は給与から天引きされていた住民税ですが、退職後は自分で納付(普通徴収)に切り替わります。市区町村から納付書が届くので、コンビニや銀行で支払います。
退職時期によって対応が異なります。
・1月〜5月に退職:残りの住民税が最後の給与から一括徴収されることが多い
・6月〜12月に退職:翌月以降の分を普通徴収で支払う
住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、退職後も前年分の住民税を支払う必要があります。退職直後は収入がないのに住民税の請求が来るので、あらかじめ覚悟しておきましょう。
確定申告
年の途中で退職した場合、その年は会社で年末調整が行われないため、翌年に自分で確定申告をする必要があります。確定申告をすることで、払いすぎた所得税が還付される可能性が高いです。
確定申告に必要なもの:
・源泉徴収票(退職した会社から届く)
・国民健康保険料・国民年金保険料の支払い証明書
・生命保険料の控除証明書
・マイナンバーカード
転職活動の開始
退職後はできるだけ早く転職活動を始めましょう。退職代行サービスの中には転職サポートが付帯しているものもあるので、活用してください。転職エージェントに複数登録し、ハローワークの職業訓練も検討すると、選択肢が広がります。退職代行を使った後の転職活動のポイントは以下の記事で解説しています。



会社から届く書類の確認
退職後に会社から届く書類は以下の通りです。届かない場合は退職代行を通じて催促するか、管轄のハローワークや年金事務所に相談しましょう。退職代行後に会社から連絡が来た場合の対処法は以下の記事でまとめています。



・離職票(失業保険の申請に必要)
・源泉徴収票(確定申告に必要)
・年金手帳(会社に預けていた場合)
・雇用保険被保険者証(転職先に提出)
・健康保険資格喪失証明書(国保加入に必要)
年金に関する詳しい情報は日本年金機構で確認できます。また、健康保険の任意継続については全国健康保険協会(協会けんぽ)(www.kyoukaikenpo.or.jp・サイト終了)のサイトで手続き方法が詳しく説明されています。
まとめ:退職後の手続きチェックリスト
最後に、退職後にやるべき手続きをチェックリスト形式でまとめます。
退職直後〜14日以内:
・健康保険の切り替え(国保 or 任意継続 or 扶養)
・国民年金への切り替え(免除申請も同時に)
・住民税の支払い方法確認
離職票が届いたら:
・ハローワークで失業保険の申請
・求職活動の開始
年末〜翌年3月:
・確定申告(還付の可能性あり)
すべての手続きに共通するのは「先延ばしにしないこと」です。特に健康保険と年金は14日以内の期限があるため、退職したらすぐに動きましょう。手続き自体は市区町村の窓口で丁寧に教えてもらえるので、必要書類を持って行けば難しいことはありません。
退職代行を使って退職した場合でも、退職後の手続きは通常の退職と全く同じです。退職代行が「辞める」ところまでサポートしてくれたなら、その後の手続きは自分でしっかりやり遂げましょう。新しい生活のスタートに向けて、ひとつずつ着実に進めてください。


※この記事は2026年4月時点の制度に基づいて作成しています。保険料額や制度内容は年度ごとに変更される場合があるため、最新情報は各窓口でご確認ください。


