「退職代行を使うのって甘えじゃない?」「自分で言えないなんて社会人として…」
退職代行の利用を検討している方の多くが、こうした声を気にしています。SNSやネット上には賛否両論があり、中には厳しい意見も目にしますよね。
この記事では、「退職代行は甘え」という意見と「甘えではない」という意見の両方を公平に紹介した上で、実際の利用者の本音と元労務担当としての見解をお伝えします。使うかどうかの判断材料にしていただければ幸いです。
「退職代行は甘え」と言われる理由
まず、退職代行に否定的な意見にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。否定的な意見を理解することで、自分なりの答えが見えてくるはずです。
「自分で言うべき」という価値観
日本社会には「退職は自分の口で伝えるのが礼儀」「嫌なことでも逃げずに向き合うのが社会人」という価値観が根強く残っています。この価値観を持っている人から見ると、退職代行は「自分でやるべきことを他人にやらせている」と映るわけです。
特に上の世代(40代以上)には、「自分の時代はどんなに辛くても自分で辞めると言った」という経験があり、退職代行に対して違和感を持つ方が多い傾向にあります。
「お金をかけてまで…」という疑問
退職代行の費用は2〜5万円程度。「辞めますと一言言えば済む話にお金を払うのは無駄」と考える人もいます。確かに、退職の意思を伝えること自体は無料でできる行為なので、費用対効果に疑問を持つ気持ちもわからなくはありません。
「社会人としての責任放棄」という批判
引き継ぎや挨拶をせずに辞めることに対して、「社会人としての責任を果たしていない」という批判があります。残された同僚の負担が増えることを想像すると、この意見にも一理あるかもしれませんね。
「退職代行は甘えではない」と言える理由
一方で、退職代行の利用を肯定する意見にも確かな根拠があります。
退職を認めない会社の方が問題
そもそも退職代行が必要になる原因は「辞めさせてくれない会社」にあるというのが肯定派の主張です。何度退職を申し出ても受理されない、退職届を破り捨てられる、怒鳴られて黙らされる。こうした環境では、自力で退職すること自体が困難です。
厚生労働省の総合労働相談コーナーには、毎年100万件以上の労働相談が寄せられており、その中には退職を認めてもらえないという相談も多数含まれています。退職代行は、こうした問題の解決手段の一つなのです。
心身の健康を守る正当な手段
パワハラやセクハラ、過重労働で心身が限界に近い状態で「自分で言え」というのは酷ではないでしょうか。うつ病で出社できなくなった人に「自分で退職を伝えに行け」と言えますか?
退職代行は心身の健康を守るための「合理的な選択」であり、甘えとは全く異なるものです。病気になったら病院に行くのと同じように、退職のプロに頼ることは何らおかしくありません。
法的にも完全に合法
退職の意思表示を第三者に委任することは法的に問題のない行為です。弁護士に代理を依頼するのは社会で広く認められていますし、労働組合が退職交渉を行うのも正当な権利です。「甘え」という感情的な批判に法的根拠はありません。

実際の利用者はどう感じている?リアルな声を紹介
退職代行を実際に利用した方々の声を紹介します。どの声もリアルで、利用を検討している方にとって参考になるはずです。
「使って本当に良かった」という声
利用者の多くが、退職代行を使ったことに後悔していません。代表的な声をまとめると以下の通りです。
- 「3回退職を伝えて全部却下された。退職代行に頼んだら一発で退職できた」(20代男性・IT企業)
- 「上司のパワハラで声を聞くだけで動悸がした。自分では絶対に電話できなかった」(30代女性・小売業)
- 「退職代行を使った翌日から、10年ぶりにぐっすり眠れた」(20代男性・飲食業)
- 「有給消化も交渉してくれて、結果的に退職代行の費用以上の得になった」(30代女性・事務職)
「罪悪感はあったけど…」という声
一方で、利用後に複雑な感情を持った方もいます。
- 「同僚に挨拶できなかったのは今でも心残り。でも上司のことを考えると自分では無理だった」(20代女性・営業職)
- 「最初は甘えかなと思った。でも退職代行を使わなかったら、今頃メンタルが壊れていたと思う」(30代男性・建設業)
罪悪感を持つのは自然な感情ですが、多くの利用者が「結果的に使って正解だった」と振り返っています。
元労務担当としての本音
ここからは、元労務担当として退職代行の電話を受けた経験のある筆者の本音をお伝えします。
会社側は意外と淡々としている
退職代行から電話が来たとき、正直に言うと最初は驚きました。でもその後の対応は至って事務的です。退職届のフォーマットを送り、返却物の確認をし、離職票の手続きを進める。それだけです。
「退職代行で辞める社員を恨む」なんてことは、普通の会社ではまずありません。労務担当にとっては業務の一環であり、どちらかというと「この会社のどこが問題だったんだろう」と自省するきっかけになることのほうが多いです。
退職代行が必要な職場環境を問題視すべき
退職代行を「甘え」と批判する前に、退職代行を使わなければ辞められない職場環境のほうを問題視すべきだと思います。従業員が安心して退職を申し出られる環境であれば、退職代行は不要なはずです。
実際に労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査でも、退職をめぐるトラブルは増加傾向にあり、労働環境の改善が課題として挙げられています。

「甘え」と言われても使うべきケース
世間の声がどうであれ、以下のような状況にある方は迷わず退職代行を使ってください。
- 退職を何度伝えても受理されない:退職の意思表示を妨害されている状態は明らかに違法です
- パワハラ・セクハラで精神的に追い詰められている:心身の安全が最優先です
- 退職を伝えると暴力や脅迫がある:これは犯罪行為であり、警察への相談も検討してください
- 体調を崩して出社できない状態:無理をして出社する必要はありません
- 退職届を受け取ってもらえない:法的には退職届の受理は不要ですが、トラブルを避けるなら退職代行が有効です
これらの状況で退職代行を使うことは、「甘え」ではなく「自分を守るための正当な手段」です。周りの意見より自分の心身を優先してください。
まとめ:「甘え」かどうかは他人が決めることじゃない
この記事のポイントをまとめます。
- 「退職代行は甘え」という意見も「甘えではない」という意見もある
- 退職代行が必要になる職場環境こそが問題の本質
- 実際の利用者の多くは「使って良かった」と感じている
- 心身の健康を守るための合理的な選択であり、法的にも問題ない
- 元労務担当から見ても、退職代行の利用は「甘え」ではない
退職代行を使うかどうかは、最終的に自分自身が決めることです。他人の「甘え」という言葉に振り回されて、心や体を壊してしまっては本末転倒ですよね。
もし今、退職を言い出せない状況にあるなら、まずは無料相談だけでもしてみてください。話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になることもありますし、自分にとって最善の選択が見えてくるかもしれません。あなたの人生を決めるのは、世間の声ではなくあなた自身です。
※この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。

