「退職代行を使ったら退職金がもらえなくなるんじゃ…」と不安に思っている方、多いのではないでしょうか。結論から言うと、退職代行を使っても退職金を受け取る権利はなくなりません。ただし、いくつか気をつけるべきポイントがあるのも事実です。
この記事では、退職代行と退職金の関係について、元労務担当の視点から詳しく解説していきます。退職金をしっかり受け取るための請求方法や、減額されないためのコツもお伝えしますので、最後まで読んでみてください。
そもそも退職金制度の仕組みを理解しよう
退職金について不安になる前に、まず退職金制度の基本的な仕組みを押さえておきましょう。
実は、退職金の支払いは法律で義務付けられていません。退職金を支給するかどうか、いくら支給するかは、各企業が就業規則や退職金規程で独自に定めています。つまり、退職金制度がない会社も存在するんですよね。
厚生労働省の就労条件総合調査によると、退職金制度がある企業は全体の約75%程度。4社に1社は退職金制度自体がないということになります。
退職金制度がある場合、主に以下の種類があります。
- 退職一時金制度:退職時にまとまったお金を一括で受け取る
- 企業年金制度(確定給付型・確定拠出型):退職後に年金として分割で受け取る
- 両方の併用:一時金+年金の組み合わせ
まず自分の会社に退職金制度があるのか、あるならどの種類なのかを確認するところから始めましょう。就業規則や入社時にもらった労働条件通知書に記載されているはずです。

退職代行を使っても退職金はもらえるのか
ここが一番気になるポイントだと思います。結論を改めてお伝えすると、退職代行を使ったことを理由に退職金を不支給にすることは、基本的に認められません。
退職金は就業規則に基づいて支給されるもので、「どのような方法で退職の意思を伝えたか」は支給要件に含まれていないのが一般的です。自分で退職を伝えても、退職代行を使って伝えても、退職金の支給条件を満たしていれば受け取る権利があります。
ただし、以下のケースでは退職金が減額・不支給になる可能性があるので注意が必要です。
退職金が減額・不支給になり得るケース
- 懲戒解雇に相当する事由がある場合:横領や重大な規律違反があった場合、退職金の全部または一部が不支給になることがあります
- 就業規則で自己都合退職の減額規定がある場合:会社都合と自己都合で金額が異なる規定は合法です
- 最低勤続年数に達していない場合:「勤続3年以上」など、支給条件に最低勤続年数を設けている会社もあります
重要なのは、「退職代行を使ったこと」自体は懲戒事由には該当しないということ。退職の意思表示を第三者に委任すること自体は法的に何も問題のない行為です。
退職金の請求方法|確実に受け取るためのステップ
退職代行を使って退職する場合でも、退職金を確実に受け取るためにやっておくべきことがあります。以下の手順を参考にしてください。
ステップ1:退職金規程を確認する
まず、自分の会社の退職金規程を確認しましょう。確認すべきポイントは以下の通りです。
- 支給条件(最低勤続年数など)
- 計算方法(基本給×勤続年数×係数など)
- 自己都合退職の場合の支給率
- 支給時期(退職後1〜2ヶ月以内が一般的)
ステップ2:退職代行に退職金の請求を依頼する
退職代行サービスに依頼する際、退職金についても請求してほしい旨を必ず伝えましょう。ここで大事なのが、退職代行のタイプによって対応できる範囲が異なるという点です。
- 民間業者型:退職の意思を「伝える」ことはできますが、退職金の「交渉」はできません。退職金の請求を伝言として伝えることは可能です
- 労働組合型:団体交渉権があるので、退職金の交渉が可能です
- 弁護士型:法的な代理人として、退職金の請求・交渉を全面的に行えます
退職金の金額が大きい場合や、会社と揉めそうな場合は、労働組合型か弁護士型を選ぶのがおすすめです。
ステップ3:必要書類を準備する
退職金の請求に必要な書類は会社によって異なりますが、一般的には以下のものがあります。
- 退職届(退職代行がテンプレートを用意してくれることが多い)
- 退職金請求書(会社所定の書式がある場合)
- 振込先口座の情報
退職届と一緒に、退職金の振込先口座を書いた書面を郵送するとスムーズですよ。
ステップ4:支給時期を確認して待つ
退職金の支給時期は就業規則に記載されていることが多く、一般的には退職後1〜2ヶ月以内です。期日を過ぎても支給されない場合は、退職代行の担当者に連絡して催促してもらいましょう。

退職金を減額されないために知っておくべき注意点
退職金をきちんと受け取るために、以下のポイントを押さえておきましょう。
引き継ぎ資料は用意しておく
退職代行で即日退職した場合、会社側が「引き継ぎをしなかった」ことを理由に退職金の減額を主張してくるケースがまれにあります。法的には引き継ぎをしなかったことだけで退職金を減額するのは難しいのですが、トラブルを避けるためにも簡単な引き継ぎ資料を作っておくと安心です。
退職代行経由で会社に郵送すれば、「引き継ぎの努力はした」という証拠になりますよ。
退職届の退職理由に注意する
退職届には「一身上の都合により」と書くのが基本。余計なことを書くと、それが不利に働く可能性もあるので、シンプルに留めましょう。退職代行のスタッフが適切な文面をアドバイスしてくれるはずです。
証拠を残しておく
退職金規程のコピーや、入社時の労働条件通知書など、退職金の支給条件がわかる書類は必ずコピーをとっておきましょう。万が一トラブルになった場合の重要な証拠になります。
また、退職代行とのやり取り(LINEの履歴など)も保存しておくと良いですよ。
退職金が支払われない場合の対処法
万が一、退職金が支払われなかった場合の対処法も知っておきましょう。
1. 退職代行を通じて催促する
まずは退職代行の担当者に連絡して、会社に催促してもらいましょう。支給期日を過ぎている旨を伝え、いつまでに支給されるのか確認してもらいます。
2. 内容証明郵便で請求する
催促しても対応されない場合は、内容証明郵便で正式に退職金を請求しましょう。内容証明郵便は法的な証拠能力があるため、会社も無視しにくくなります。弁護士型の退職代行であれば、この手続きも代行してくれます。
3. 労働基準監督署に相談する
退職金規程に基づく退職金の不払いは、賃金不払いの問題として労働基準監督署に相談することができます。労基署から会社に対して是正指導が入れば、支払われるケースが多いです。
4. 弁護士に相談して法的手続きをとる
それでも解決しない場合は、弁護士に相談して労働審判や訴訟といった法的手続きを検討します。退職金の金額が大きい場合は、法テラス(日本司法支援センター)を利用すれば、無料で弁護士に相談できることもあります。

まとめ:退職代行でも退職金はきちんと受け取れる
この記事のポイントをまとめます。
- 退職代行を使っても退職金を受け取る権利はなくならない
- 退職金の交渉が必要な場合は労働組合型か弁護士型を選ぶ
- 退職金規程のコピーなど証拠となる書類は必ず手元に残す
- 支払われない場合は労基署や弁護士に相談できる
退職代行を使うこと自体は、退職金に影響を与えるものではありません。大事なのは、事前にしっかり準備しておくこと。退職金規程を確認し、適切なタイプの退職代行を選び、必要な書類を用意しておけば、スムーズに退職金を受け取ることができます。
不安な方は、まず退職代行の無料相談で「退職金も請求できますか?」と聞いてみてください。具体的な対応方法を教えてもらえるはずですよ。
※この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。法律や制度は変更される場合がありますので、最新情報は各公的機関の公式サイトでご確認ください。

